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居間
居間はこの家の要。吹き抜けにして大きな空間(空気)ボリュームを確保する。
熱気は天窓と両妻の通風窓から抜く。南側に縁側、3方に部屋がつながる。敷物の下には堀コタツ。床は唐松エンコウ板。壁は紙貼り。天井はJパネルあらわし。
座って居られるのはご主人。
南東方向より見る
腰板は焼き杉板、上部はサイディングの上リシン吹付け。
屋根はガルバリウム鋼坂瓦棒葺き。

和歌山県の中央部、観光地白浜を過ぎて国道42号線を少し串本方面に走ると椿温泉がある。海岸沿いのこの町には信号が一つしかない。一つしかない信号を左に折れるとJR椿の駅があらわれる。海からほんの少し入ったこの駅を超えると程なく今回の敷地である。前面道路は3m弱、南側には田んぼがひろがる、その先には線路が走る。北側は雑木の山、西側はその山裾、東側には隣家がある。実はこのあたりは住まい手の故郷。この地を出て35年、都会暮らしを経験された後でUターンしてこられた。心やすまる住まい地はやはり故郷であるらしい。

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居間テーブル
これは杉の一枚天板。製材所で取り置きしていた原板を住まい手が見つけて購入された。組み立ては大工。これから奥さんが蜜蝋ワックスで仕上げをするところ。現在はこのテーブルが据わっている。下部空間は堀コタツ。
南側風景
前には田んぼ、向こうに線路、その向こうは山並み。
自然と人々の営みが目の前にひろがる。環境良好。
大黒柱の余った物を利用されての鉢台
自らも家づくりに参加された住まい手にとってはたとえ切れ端といえども思いがこもる。なかなかの利用法。
大黒柱を見上げる
グリッドの要の大黒柱。4方差しとなる通柱は通常180角以上の物を用いるが、この家では居間にあらわしとなるため、杉丸太末口300φの物を用いて特徴的な化粧とした。

計画に当たってご本人から以下のような要望を頂いた。

「橘新田の家 5つのコンセプト」
1. 百年もつ木の家
2. シンプルで天災に強い家
3. 集いやすい家
4. バリヤフリーの家
5. 風の通る家

いずれもごもっともな思いである。それらの実現に加えて、シックハウス症候群や環境共生をはじめとする最近の住宅が抱える問題に対しての対応を考えた。キーワードは「地域性」である。

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庭より居間を見る
南側居間の掃き出し窓の前には庭がある。観賞用ではない。野菜を作り、趣味の欄の世話をし、愛犬が遊ぶ庭である。土にふれ、緑にふれ、水にふれ、風にふれ、生き物にふれることで、季節感が確かなものになる。
台所より玄関方向を見る
玄関は1間の大きな引き戸を通じて直接台所と居間につながる。お客様を家族のように迎える住まい手の気持ちをそのまま間取りにした。左側、戸の向こうは台所収納。台所廻りの大きな収納はどちらのお宅でも好評。
縁側
杉角材敷き並べ。外部の木部はリボス3回塗り。塗装工事は全て住まい手の仕事。

キャットウオ―ク
杉角材敷き並べ。

今ひとつの着目点は「住まい手との協働」である。いつのまにか「住まい手」のことを「消費者」と呼ぶようになった。しかし「住まい手」は自らの住まいをつくり、家族の生活を創造していく「生産者・クリエイター」であるべきだ。断じて「消費者」ではない。「私たちを守りなさい」「私たちを満足させなさい」の「消費者」のポジションからは地域の環境循環も経済循環も何も見えてこない。

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玄関式台
框は桧丸太3方落とし。床板は唐松エンコウ。まっすぐ進めば台所。左に上がれば居間。床は金錆砂利洗出し仕上げ。


脱衣場からお風呂方向を見る
脱衣場は洗面所から独立させて実用性を高めた。収納ラックや布製引き出しは奥様が工夫された物。
2階洗面
洗面所は1階2階の両フロアーにある。1階はお客様をお迎えしてもOKな少し立派な物。
2階は家族で使う徹底的に実用的な物。天板は地元で造る桧台形集成材。

今回の「住まい手」は木酢液の散布・木部塗装・美装・厨房機器の準備から簡単な土木作業まで自分たちに出来ることはみんなやってしまった。結果、力を尽くした満足感を得、地域との融合を果たし、坪50万円を下回る低価格まで副産物として手に入れた。住まいづくりに能動的に参加する姿勢が自分たちを取り巻く環境を変えていく。私たちを取り巻く住環境、経済環境、自然環境を守っていけるのは私たち自身よりいない。

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2階多目的室
2階は奥に板の間があるばかりで、ほぼ全てが多目的室(書斎)となる。壁はどこも本棚とした。本棚の向こうは居間上部の吹き抜けと階段である。北面屋根の天窓からはいつも光が入る。風も、光も、人も、自由に動く。
2階多目的室 息子さんの勉強コーナー
間仕切りは少なくひろがりのある間取りを心がけたが、2階は特に開放的。
子供たちの成長に合わせてこのスペースは姿を変えていく。現実に則した有効な空間利用法だと思う。
 
2階書斎
見えているのは2階洗面。書斎は手前側にある。背面には本棚手摺り。
頃合いの囲まれ感。

木造民家型の木組にて、シンプルで天災に強く、百年もつ家の骨格を組み上げた。南側にはこの家の中心となる大きな居間がある、そこに2間の掃き出し窓を付けご近所さんが集える縁側を取り付けた。居間は上下左右に空間をつなげこの家の核となると共に、四季を通じて風の道となる。大きな吹き抜けを内包することから、床と屋根野地にはJパネル(杉 t=36の3層パネル)を使用して充分な剛性を確保している。床・壁・天井には杉皮断熱材(フォレストボード)を使用した外断熱通気工法。内部は紙張り仕上げ。

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2階ホールより居間を見下ろす
1階と2階のつながりが良くお分かり頂けると思う。玄関も縁側もみんな実用、みんな一体。
2階ローカより多目的室を見る
のびのびと暮らしたいという思いがよく伝わる。
東側突き当たりにはベランダがある。
昼間、天窓からは光が差し込み照明いらず。
夜には星が眺められるようにと透明硝子を入れた。

「この冬は堀コタツと石油ストーブだけで過ごせた」と聞く。「この夏は扇風機だけでやり過ごしてみる計画だ」とも聞いた。この地に生きた先人の知恵を豊かに受け継いだこの家で、いくつかの季節を過ごされて、体が忘れかけていたリズムと感性を取り戻す頃には、裏の山にも横の畑にも立派な実りがあるだろうと思う。

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大工小屋にて
住まい手は木材の調達の時期から頻繁に現場を見に来られた。
大工小屋で今回最年長大工早田さんとの記念撮影。
中央がご主人、右側が奥様。
大工棟梁 向井さん
最後まで辛抱強く着実な仕事をして下さった。
大いに感謝しています。
南西方向より見る
南側に大きな開口と縁側が並ぶ。心得た人はここからこの家に入っていく。
「人の集う家にしたい。」その思いのままに訪れる人々を受け入れる。
住まい手の社会参加のかたち。
左側の下屋は土間。将来は「ろくろ」が据わって奥様の陶芸室。
雨水タンク
雨水利用を積極的に行う。切り妻大屋根に降る雨は、樋を通して山側にあるこのタンクに集められる。水は畑や庭の散水として利用される。
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建物名 / 白浜町椿・橘新田の家
所在 / 和歌山県西牟婁郡白浜町椿
構造規模 / 木造2階建
主要用途 / 専用住宅
竣工 / 平成16年8月
敷地面積    /   305.97u (92.55坪)
建築面積    /   113.35u (34.28坪)
延床面積   / 173.25u (52.40坪)
1階           /   99.53u (30.10坪)
2階           /   73.72u (22.30坪)
特記事項 / 外断熱通気工法(杉皮断熱材使用)、民家型工法の家、雨水利用装置
 
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平成16年 晩秋

今年の気象は本当に異常ですね。
早く寒くなって、水温も下がらないとグレが釣れません。
最近は市江の磯に精勤して、竿を振る練習に励んでいます。
裏の畑で野菜作りの真似事を始めたのですが、鹿が芽を食みにきたので、ネットを張ったりワイヤメッシュで囲ったり!
自然農法に興味があるので、粘土団子に20種の野菜の種を混ぜてばら撒いたら、エンドウ豆と大根だけが残りました。
別に、ジャガイモも痩せ地に好いと聞き植えたら元気。
まずは土作りと、裏山の木々や草を荒畑に放り込み、緑肥も欲しいと蓮華の種を4Kgもばら撒きました。
来年の春が待ち遠しいが、近所の連中は知らん顔を決めています。
木も裏の畑に何種類(果樹と庭木)か植えて様子見中です。
最近、木の裂ける音が頻繁にしだしました。
夜中に目が覚めたときなどは、獣の気配と木の音が気になると寝つかれません。
天窓の網戸をはずしたのですが、青空クッキリ、裏山の景色もクリアになり喜んでおります。(今は満月の時季なので、星があまり見えないのが残念)
1Fの床板は素足だと冷たさを感じだしました。2Fは気になりません。
先日、雨の後に便所の戸の開閉がかなり渋くなり、驚かされました。晴天1日で元に戻り、そういうものかと納得。
これからの寒さがどうなるのか?楽しみなところです。

 
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紀州材を使った木の家、木造住宅、在来工法、民家型工法、地域密着型(和歌山県)、外断熱通気工法の住宅設計|一級建築士事務所 中村伸吾建築設計室
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