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2004年3月15日、紀南流域林業活性化センター(西地区)主催の「木の国Wood Design コンテスト2005」において『城山台の家』が優秀賞を受賞し、表彰式が行われました!

 

主催/紀南流域林業活性化センター(西地区)
 
趣旨/
紀州材を使用し、木の住まいなどを作る
デザインコンペの対象/
審査員/
木材納品/株式会社 山長商店
施工者/(有)新藤工務店
環境共生
森林率が90%を超え、その内人工林率が70%を超える紀南においては、自然林の保全より、現存する人工林と如何に向き合うかが早急に対応を迫られる課題である。具体的には樹齢40〜50の杉・桧の節あり並材を大量使用する方法を考える必要がある。この住宅はエンコウ板以外全て杉、桧の節あり並材で作った。特に厚板(t=39)としての使用(0.7m3/坪)が若年生(間伐材を含む)の節あり並材の大量使用には有効である。また、良好な住環境を得る上でも効果がある。
経済循環
地元材を使い、地元の職人に残る技量を基本とした在来工法で家を建てる。民家型構法は少し慣れを必要とするが大工職人、左官職人、家具職人、建具職人・・・地域に残る各職人たちの技は充分それを可能にする。住宅産業がマスコミを通じて創り出した価値観に頼ることなく、「住まいづくり」を通した地域の生き残りの方法を今一度考えてみたい。
良好な住環境の確保
特に現代住宅は建物が備えるべき基本性能の内、室内における調湿と蓄熱の性能に決定的な弱みを持つ。それを補うのが室内にあらわしで使う大量の木材(構造材、杉厚板・・1.2〜1.5m3/坪)と土塗り壁である。木と土の湿気と熱を蓄える性能は他の建築材料と比べても著しく優れる。効果は使用した体積にほぼ比例する。
日差しをうまく制御する低く深い軒の出、上下左右につながる開放的な空間構成、風の通り道の確保など住宅の住環境をパッシブな方向で考え直すこと・・・先人の知恵に学ぶ、地域の気候風土にあった家づくりが、過度の機械依存を防ぎ住まい手の健康生活を手助けする。
2階より居間を見る
この家の各室をつなぐ要となる吹き抜け空間。空気を自然対流させることは快適な空間を得るための重要な要素、吹き抜けは有効な手だて。外部側欄間部には通風のための木製窓。2階ローカ手摺りは本棚。中央にはシーリングファン。風の通り道は意識して確保することが必要。
南側外観
切妻大屋根はガルバリウム鋼板瓦棒葺き、内部には2階空間を内包する。外壁は南側のみ杉板南京下見板張りリボス塗り仕上げ。他三方はサイディングの上弾性リシン吹付け仕上げ。東側下屋・アプローチ部分には錆花崗岩(割肌)を積む。二つの樽は金魚の住まい。

建主のN氏とは、あるコンペで知り合った。当選出来なかった私の意見を辛抱強く聞いてくださったのがN氏である。いい結果は出なかったが得難い体験だった。
そんなN氏が「家を建てたいので設計を頼む・・」と事務所にお見えになった。「いい印象は持って頂いてないだろう・・」と思っていただけに、その時には驚くと同時に感謝の気持ちでいっぱいになった。

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居間よりたたみ間方向を見る
東側外観

田辺市と上富田町をつなぐ山側の幹線道路沿いに数年前に造成された新興住宅地が今回の敷地である。北側に向かってひな壇状に下がっていく東南の角地。南と東西側には大きく日照を遮るものはない。空いている区画は多く、すでに建築済みの家はほとんどがサイディング張りのハウスメーカー風で地域性を意識させるものは少ない。敷地の南側を庭として残し、北側に建物を建てる。両者をデッキでつないで敷地を一体に利用する計画だ。

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玄関ポーチ
アプローチは完全バリヤフリー。玄関収納は地場産の桧積層材にて制作。
玄関ホール

若くして住宅を建てた経験のあるN氏の今回の建物に対するご希望は・・。これからの人生を共にするに足る落ち着きや安らぎを与えてくれる家。紀南の風土に合い春夏秋冬の自然の息吹が感じられる家。広すぎることのない3人家族の生活実感に則した家。大きくは以上の3点だった。
住宅は住まい手がプライベートな生活を営む場、内部の空間は思い切り個性的で使い勝手優先のものがいい。そして、現代住宅がなくした先人のこの地域に住まう知恵や職人の思いが生きる住宅にしましょう・・・そんな話をしながら計画はスタートした。

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庭より居間を見る
南側居間の掃き出し窓の前には庭がある。観賞用ではない。野菜を作り、趣味の欄の世話をし、愛犬が遊ぶ庭である。土にふれ、緑にふれ、水にふれ、風にふれ、生き物にふれることで、季節感が確かなものになる。

木・土・紙などの自然素材による家づくり、紀州材を使用した構造材あらわしの民家型工法などを基本に。思い切り私的な、大屋根小屋裏を利用した2階の空間・・たくさんの蔵書を収納すべく、手摺りをすべて本棚とした多目的室。外部からポーチ、玄関、内部床までのバリヤフリー構造。吹き抜けを介し、上下左右の各部屋を一体に繋げ、庭に向かって大きく解放する居間空間などで上記のご希望を具体化したつもりだ。

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居間から庭を見る
居間
床:唐松エンコウ板。壁:珪藻土塗り壁。天井:杉厚板あらわし。

もちろん、間取りに優先する基本軸組グリッド。外断熱通気工法による地域に適した断熱・気密性能。室内に蓄熱・調湿材料としての杉厚板あらわし・土塗り壁の採用。通風を確保する開口部。日差しの制御が充分に出来る軒の出などこれまでの住宅の低耐久化・機械依存過多・環境共生不足に対応する技法は「木の国の家」のフォーマット通りに織り込んだ。

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たたみ間
南西に位置する寝室。夕刻の日差しは心地よい。
階段見上げ
ささら桁、段板、共に桧材のシースルー階段。手摺りは杉丸太35o。
階段袖壁
全面珪藻土の塗り壁の中にあってこの部分のみエコカラット貼り。
特徴的なこの壁はいい掲示板になっている。

客動線がとたんに居間に導かれるこのプランには計画段階では抵抗も感じられたようだが工事が進むにつれ馴染んで頂けたようだ。汚れやすい、傷つきやすい、メンテナンスが大変だと心配されていた唐松床板、珪藻土や桧板の壁などの自然素材の仕上げ材も大過なく本来の持ち味を発揮しているらしい。

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2階多目的室
2階は奥に板の間があるばかりで、ほぼ全てが多目的室(書斎)となる。壁はどこも本棚とした。本棚の向こうは居間上部の吹き抜けと階段である。北面屋根の天窓からはいつも光が入る。風も、光も、人も、自由に動く。
2階ローカ

東側石積みの傍らには金魚が住む大きな樽が二つ座った。庭には木が植わった。最初に写真を撮りに伺った時にはまだ家財道具さえ入ってなかったが、人の生活がそこで始まることではじめて「住まい」となった。この「住まい」が時と共に醸成され、いつまでもご家族を健やかに守っていけることを願っている。

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本を並べる前の棚。桧材にて制作。
書斎コーナー
書斎机は桧積層材にて制作。見栄えよりも使い勝手。大いに役立っている様子。
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建物名 / 城山台の家
所在 / 和歌山県田辺市城山台
構造規模 / 木造2階建
主要用途 / 専用住宅
竣工 / 平成15年12月
建築面積 / 217.01u (65.64坪)
敷地面積 / 94.61u (28.61坪)
延床面積 / 116.10u (35.11坪)
1階 / 76.48u (23.11坪)
2階 / 39.62u (11.98坪)
地域・地区 / 都市計画区域外・防火指定無し
主な外部仕上 /
屋根
ガルバリウム鋼板瓦棒葺き(杉厚板t=39下地 外断熱通気工法)
東西面:無塗装サイディング t=12の上 弾性リシン吹付仕上、南北面:杉板 t=12下見板張りの上 リボスカルテッド塗仕上(土塗り壁下地外断熱通気工法)一部外装用珪藻土塗
その他
ポーチ /金錆砂利洗イ出シ仕上 金錆花崗岩積み(割肌コブ出し仕上)
主な内部仕上 /
玄関 / 金錆砂利洗イ出シ仕上、ホール,居間・食堂,台所,板間,洗面脱衣室,便所 /杉厚板t=39下地 唐松縁甲板張りt=15、畳間 / 杉厚板t=39下地 畳敷き

玄関,ホール,居間・食堂,台所,板間,畳間 / 土塗壁又はラスボードt=7下地 珪藻土塗、洗面脱衣室,便所 / 桧小巾板張りt=12

天井
玄関,ホール,2階板間 / 杉化粧野地板顕わし、居間・食堂,台所,畳間 / 2階床板化粧顕わし 吹抜部 杉化粧野地板顕わし、洗面脱衣室,便所 / 杉板t=12張り
その他
外部建具 / アルミサッシ(一部木製) 硝子は全てペア硝子、開口部廻り造作材(枠、額縁等)桧
特記事項 / 木の国の家仕様、民家型工法の家
  木の国 Wood Designコンテスト2005 優秀賞受賞
 
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平成16年 夏 
  木と光と風
28歳の時、前の家を建てた。
少し若かったが、自分の城が欲しかった。敷地内に庭が作れず、家と自然との調和が不十分だった。それで、居間から自然を感じる「ワガママな空間」に魅力を感じていた。
50歳も過ぎたのだからワガママも許されると思い、中村さんに相談した。「家を全体で」見ることもできるが、「居間の自分が座る場所から家を見る視点もある」と言われて、自分達だけの、住む人を中心にした家を創ろうと考えた。
住んで一年、気に入っていること
酷暑の夏を、多少のやせ我慢を加えて、クーラーなしで過ごすことができた。体調も良い。 木と光と風を自分の定位置で感じてる。木の柔らかい感触、光は大屋根を潜って差し込んでくる。風は居間の窓から天窓へと抜けていく。自然との距離が近くなった。
三人が住むのに、狭からず、広からず、どこからでも息遣いを感じる家。「手中に収まる」家に満足している。庭を駆け回る14歳になる愛犬も若くなった。来訪者も多い。
感謝すること
施主のワガママに付き合ってくれた設計士の中村さん、工事を引き受けてくれた新藤さんに感謝している。
 
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