この30年、多くの大工道具が電化される中、それらを呑み込み、職人は見事な建物を造り続けてきた。たとえプレカットが導入されてもそれをマネージメントし完成品とする職人の器量と技がなければ「木の国の家」はできない。双方の職分を尊重し、互いが職能を尽くすために協働する姿勢が大事なこととなる。そして、幸い「紀南」にはそれを可能にさせる職人が多く残っている。
この住宅は「木の国の家」の仕様に忠実にできている。初めての冬を過ごしてもらったが「暖かい!」と上々の評判だ。これから不快な梅雨と酷暑を迎えるがそれらを過ごした後にどんな感想が聞けるのか今から楽しみにしている。
最近南側に植栽が施された。緑が少し加わると随分と印象が違ってくるものだ。「東南の庭、エントランスと時を追って手を加えていくつもりだ」とご主人からうかがった。それらの緑がすっかりと馴染む頃には「木の国の家」もこの地にしっかりと根付かせたいと思う。