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地域性豊かな「あけぼのの家」
地域性とは建築のかたちにあるのではなく、そのシステムやネットワークにある。
地元商工会議所の「木の国の家」モデル住宅でもあるこの家は、紀州材を使用した紀南らしい住宅。
伸びやかな空間が広がる。

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住宅建築2005年11月号別冊 家づくり名人。の掲載記事を見る
チルチンびと2003年秋号別冊Dの掲載記事を見る
2004年3月23日(火)に行われた 「木の国 Wood Design コンテスト2004」の受賞風景
2004年3月23日、紀南流域林業活性化センター(西地区)主催の「木の国Wood Design コンテスト2004」において『あけぼのの家』が最優秀賞を受賞し、表彰式が行われました!

 

主催/紀南流域林業活性化センター(西地区)
 
趣旨/
紀南流域林業活性化センターでは、森林を育成し、その木材を有効に活用する資源の循環利用に取り組んでいます。紀州材を多く使うことにより、木の国の森林と地域が元気になります。今回、紀州材のすてきな作品を募集し、木の魅力をアピールすることにより、森林設備の促進と地域の活性化を図ることを目的としております。
デザインコンペの対象/
紀州材を、構造や内装材などに使い、田辺市、西牟婁郡内に作られた建築や住宅、その他の木質構造物を対象とします。新築・増改築は問いません。
審査員/
榎本長治氏(紀南流域活性化センター会長、田辺市木材協同組合理事長)
坂本勝則氏(和歌山県林業試験場木材利用部長)
三澤文子氏(岐阜県立森林文化アカデミー教授)
松葉弘義氏(紀南流域活性化センター、和歌山県建築士会副会長)
木材納品/株式会社 山長商店
施工者/(株)西峰工務店
中村伸吾
「民家型構法の家づくり(現代計画研究所)」の考え方が各地に与えた影響は大きい。発表後20数年の時を経てその子供たちが息づく。この地にも「木の国の家推進事業」として根付いた。「木の国の家」が目指す住宅の基本コンセプトを以下に記す。
五感で楽しめる構造材あらわしの家
基本架構はグリッドにて構成し、間取りに優先する
先人の知恵に学ぶ、地域の気候風土にあった家づくり
(土塗り壁・低く深い軒の出・上下左右につながる開放的な空間構成・風の通り道の確保など…住宅の住環境をパッシブな方向で考え直す)
地元職人の技量を基本とした民家型在来軸組構法
紀州材による家づくり(節あり並材の大量使用 1.2〜1.5m3/坪)
この住宅は上記の考え方に忠実に出来ている。東西方向に2間×3間のグリッドを三つ半並べ基本軸組とする。1階の張り出し部分は下屋にて構成し、水廻りや車庫、外部ユーティリティなどを納める。中央に吹き抜けを持つ居間があり全ての居室につながる。ここがこの家のコミュニケーションの要。使用材料は紀州材をはじめ、土、石、和紙・・・いずれも天然素材。
居間吹抜け
家族のコミュニケーションの「かなめ」となる吹抜けは、全ての居室につながる。正面に見えるのはオーディオ好きのご主人の手作りのスピーカー。
南外観
ベランダ廻り/軒が大きくかぶる。
床板桧厚39m/mスノコ張り。

敷地は、紀州田辺のほぼ中央で20年ほど以前に造成された。北側以外は住宅が建て込むが、南には隣地との高低差があり南紀白浜を臨む眺望が開ける。窮屈そうな住宅街の中にあってほっと一息つける空間を持つ東西に長い敷地である。住まい手は夫婦と小学生の子供が3人、木を扱う仕事をされているご主人からは「紀州材の魅力が充分に伝えられる、のびのびと暮らせる家が欲しい」という希望を聞かされていた。
東西方向に2間×3間のグリッドを三つ半並べ基本軸組とする。1階の張出し部分は下屋にて構成し、水廻りや車庫、外部ユーティリティなどを納めた。中央に吹抜けを持つ空間があり、全ての居室につながる、ここがこの家のコミュニケーションの要だ。2階の手摺りに掴まって子供たちが手を振る。伸びやかな空間は子供たちの気持ちも解放的にするようだ。家族の暖かみをいつも身近に感じながらすくすくと育ってくれるように願う。

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玄関・飾り棚
天版は桧天然木。壁は珪藻土塗り。
玄関より和室を見る
床と天井の杉厚板や、石・土などの自然素材が、訪れる人を迎える軟らかい表情を創り出す。

敷地形状から、玄関アプローチと車庫の位置は北西の角とした。訪れる人々を懐かしい防風石垣をモチーフとした石積みが出迎える。玄関やホールは最近の都市住宅のそれよりは大きめのスペースをとった。地方都市に残るお客様を迎える時の心構えを形にしたものだ。檜材の式台、上がり框をまたぐと足裏に馴染みのいい杉の厚板が触れる、目の前が畳の間となる。南側の掃き出し窓とそれに続くデッキが寸法よりも幾分この部屋を広く感じさせる。

基礎スラブはW配筋によるベタ基礎。立上がりには通気開口を設けず基礎パッキンにて全周の通風と強度を確保する。外壁と屋根は外断熱の通気工法、内部に蓄熱体・調湿素材として土塗り壁、軸組、杉厚板の現し構造。サッシはペアガラス、断熱材は炭化コルク。もちろん木材は全て「紀州材」。そしてこの家はプレカットにて軸組を刻んだ。

決まった人が設計し、限られた職人しか施工できず、特定の人でなければ入手できない住宅では地域のスタンダードにはなり得ない。それを目指さなければ「街並み」や「環境共生」など語るべくもない。材料、構法、金物使いから価格まで、地域に残る町屋の職人が普通に造れることはとても大事だ。

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2階ホール
地廻り梁、補強梁、骨梁、タルキ受け梁、4寸タルキ・・・小屋組廻りの構造がそのまま意匠となる。
和室
床框、床 共に栗材。床柱はなぐり。質実剛健を心がける。
寝室
通常裏となる空間もロフトとして利用する。障子は居間・吹き抜けを通して家全体をつなげる。

この30年、多くの大工道具が電化される中、それらを呑み込み、職人は見事な建物を造り続けてきた。たとえプレカットが導入されてもそれをマネージメントし完成品とする職人の器量と技がなければ「木の国の家」はできない。双方の職分を尊重し、互いが職能を尽くすために協働する姿勢が大事なこととなる。そして、幸い「紀南」にはそれを可能にさせる職人が多く残っている。

この住宅は「木の国の家」の仕様に忠実にできている。初めての冬を過ごしてもらったが「暖かい!」と上々の評判だ。これから不快な梅雨と酷暑を迎えるがそれらを過ごした後にどんな感想が聞けるのか今から楽しみにしている。

最近南側に植栽が施された。緑が少し加わると随分と印象が違ってくるものだ。「東南の庭、エントランスと時を追って手を加えていくつもりだ」とご主人からうかがった。それらの緑がすっかりと馴染む頃には「木の国の家」もこの地にしっかりと根付かせたいと思う。

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食堂より台所を見る
居間より食堂方向を見る
内部は木構造 あらわしの珪藻土塗り仕上げ。梁間3間、桁行2間のグリッドのため、梁間2間のところで梁を設け渡りあごにてグリッドをうける。
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建物名 / あけぼのの家
所在 / 和歌山県田辺市あけぼの
構造規模 / 木造2階建
主要用途 / 専用住宅
竣工 / 平成13年11月
建築面積 / 470.33u (152.16坪)
敷地面積 / 150.06u (45.39坪)
延床面積 / 199.95u (60.48坪)
1階 / 130.83u (39.57坪)
2階 / 69.12u (20.90坪)
地域・地区 / 第2種中高層住宅専用地域
主な外部仕上 /
屋根
ガルバリウム鋼板葺き(外断熱通気工法) 、断熱材 / 炭化コルク t=25、野地板 / 杉厚板 t=36
桧板 / t=15張り キシラデコール塗り仕上(内部土塗壁) 一部防火サイディングの上リシン吹付仕上 (外壁内外断熱通気工法)
その他
庇 / ガルバリウム鋼板葺き、ポーチ床 / 金錆砂利洗い出し仕上
主な内部仕上 /
玄関 / 金錆砂利洗い出し仕上、ホール / 杉厚板張り仕上 t=36、居間・食堂 / 杉厚板張り仕上 t=36、和室 / タタミ敷き t=60
玄関・ホール / 土塗り壁の上珪藻土塗り仕上、居間・食堂 / 土塗り壁の上珪藻土塗り仕上 、和室 / 土塗り壁の上珪藻土塗り仕上 、洗面・トイレ / 桧板 t=15張り
天井
玄関・ホール / 杉床板顕し、居間・食堂 / 杉床板顕し、和室 / 杉床板顕し
その他
外部建具 / アルミサッシ(一部木製) 硝子は全てペア硝子、内部木製建具 / 桧及び杉製、開口部廻り造作材(枠、額縁等) / 桧
特記事項 / 自然素材使用の家、民家型構法の家(木の国の家仕様)
  木の国 Wood Designコンテスト2004 最優秀賞受賞
 
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調査日:2003年1月30日 

 「木の国の家」で過ごされた感想を、以下の質問項目にそってお答えください。
 ★夏の過ごしやすさはどうでしたか?
 以前の家より過ごしやすかった
←→
以前の家より暑さがこたえた
(コメント:早朝の暑さが以前の家に比べてとても違って感じた)
 ★梅雨時期の過ごしやすさはどうでしたか?
 以前の家より過ごしやすかった
←→
以前の家より不快感が増した
(コメント:じめじめとした感じがなく過ごしやすかった、しかし雨音が大きく感じた)
 ★冬の過ごしやすさはどうでしたか?
 以前の家より過ごしやすかった
←→
以前の家より寒さがこたえた
(コメント:思ったより暖かかった)
 ★天井のない木の見えた構造、板壁や土塗り壁の内装は住んでみるとどんな感じですか?
 いい感じ
←→
具合悪い
(コメント:広々とした感じが気持ちいい)
 ★間仕切りの少ない開放的なプランの使い勝手はどうですか?
 いい感じ
←→
具合悪い
(コメント:)
 ★傷つきやすさや、メンテナンスのしやすさはどうですか?
 気にならない
←→
大変である
(コメント:)
 ★シックハウスやアトピー、異臭などの心配はどうですか?
 調子良い、気にならない
←→
調子悪い、大変である
(コメント:子供のアレルギーも若干良くなった気がします)
 ★支払った価格相当の住宅だと感じますか?
 割安である
←→
割高である
(コメント:)

昨年の冬場、200uに近いこの家の暖房は居間と食堂にある2台のエアコンで全てまかなえた。2階の個室は吹き抜けを通して暖まり暖房の必要はなかったという。今年は少し大きめの石油ファンヒーターを居間に設置した、空間が大きいので時々補助に居間のエアコンは稼働させたがほとんどはそれでまかなえたという。夏場は居間、食堂、寝室の3台が稼働したが、残りの3台は未だに出番待ちである。紀南においては充分な断熱、気密の性能であると思う。杉厚板の1階床板はさすがに新建材よりは傷つきやすい。最初はすごく気を使われていた奥さんが「木材の色が落ち着いてくるのと同じように傷みもそこそこは覚悟ができてきた、これも自然なことなのだと受け入れることができはじめた」そうおっしゃっていたのが印象深い。
 
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