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木の国の家
●木の国の家
1-1 山の現状
1-2 住宅を取り巻く現状
1-3 人工林との共生
1-4 木の国の家の提案
2-1 要素の抽出
2-2 グルーピングと考察
2-3 結果
3-1 要素の関係解析
3-2 構造材あらわし構法
   の採用
3-3 基本架構はグリッド
   で構成する
3-4 地域の知恵に学ぶ
3-5 仕様概要
4-1 基礎
4-2 設備配管基礎貫通
   部納まり
4-3 土台・外壁・内壁・
   1階床廻り
4-4 2階床廻り
4-5 外壁上部・桁・屋根・
   軒先廻り
4-6 屋根・棟部
4-7 建物強度
5-1 「節あり並材」使用量
   にみる傾向
5-2 コスト分析に見る傾
   向
6-1 見学者に対するアン
   ケート調査
6-2 調査結果
7-1 居住者に対するヒア
   リング調査
7-2 調査結果
7-3 住まい心地ヒアリン
   グシート
8-1 階層分析法による優
   先順位の解析
8-2 結論
森から住宅を考える
 
木の国の家 活動プロジェクト 中村伸吾建築設計室
中村伸吾




「木の国の家」では地盤の不均衡を解消するためと、床下の乾燥を確保するために「べた基礎」を採用する。以下に配筋根拠を示す。


床 版(基礎スラブ)

固定荷重(木造2階建て)

屋根 日本瓦(下地共) 500
  垂木・杉厚板など 200
  小屋組 150
  間仕切り 50
  900N/u

2階床 床仕上(杉厚板共) 450
  床組 150
  間仕切り 100
  700N/u

1階床 床仕上(杉厚板共) 450
  間仕切り 100
  550N/u

外壁 仕上げ板(下地共) 300
  軸組(土塗り壁共) 900
  1200N/u

積載荷重 積雪 420
  積載 1300N/u

使用材料 コンクリート Fc21N/mu
  鉄筋 SD295
   ▲2階建て 基礎配筋図

   ▲平屋建て 基礎配筋図


計算(2間スパンで囲まれた連続スラブと仮定する)

配筋

床版においてベンド筋の配筋をすることは非常に困難を要するため、スラブ厚200mmにてD10−@200(両方向共)のダブル配筋とする

立ち上がり



上記によって立ち上がり配筋は 1−D16(上端、下端共)とする

床版は基礎スラブとして地反力を処理しなければならない。よって配筋はD10−@200(両方向共)のW配筋、スラブ厚は200mmとする。
基礎立ち上がりは「地中梁」と認識する。そのため、床下通気口などの欠損は設けない。150mmの梁巾を確保し、上端、下端の主筋としてそれぞれ1−D16の配筋をする。縦配力筋はスタラップとなる。上下にフックあるいは定着を設けてD10−@200の配筋をする。
ただし、平屋建ての場合にはスラブ厚150mmにてD10−@200(両方向共)のシングル配筋でよい。この場合、立ち上がり上下の梁主筋はそれぞれ1−D13とする。



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べた基礎とした場合床下の設備配管はコンクリート下部に打ち込みとなることがあるが「木の国の家」では通常床スラブ上部に「ころばし配管」とする。こうすることでメンテナンスを容易にすると同時に、来るべき改装に備える。

基礎立ち上がりを貫通する部分にはピットを設けてその部分で集中的に配管を処理する例をよく見かけるが、降水量の多い紀南の地では地盤面より下の部分にピットを設けることは防湿の観点から避けたい。又、ピット形式は基礎スラブを複雑にし、工費にも反映される。よって、配管貫通部は斜めのスリーブ抜きとし、補修・取り替え等が容易に行える形式とする。

外部埋設配管についても構造躯体下部には原則として埋設しない。


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土台は木造建築物を構成する木材の中で最も地盤面に近く湿気や蟻の対策が必要となる部位である。含水率が20%を超えると腐朽菌や変色菌の活動が始まり、25%を超えると活発化するといわれているが、常時新鮮な空気にふれている他の材とは違い特別の対策が必要になる。 建物に使用された木材は年月を経てその地方の気候条件に適した平衡含水率を持つに至るが、調査によると地盤に近く風通しの悪い部分に位置する部材は他の部材より平均高めの含水率を示す。

通常のように基礎立ち上がりの上に天端均しモルタルを施工し、直接土台を据え付けていたのではコンクリート部からのもらい湿気を避けることは難しい。「木の国の家」ではネコ土台構法を採用し土台パッキンを介して土台を据え付ける。基礎コンクリートの上に土台が直接触れることを避け湿気の遮断をする。又、この構法により従来の基礎立ち上がりに通風口を設ける構法に対して床下換気量が約1.4倍確保できる。しかも通風口のように風向きを選ばず四方から風を取り入れることが可能となる。
紀南はシロアリ食害の多い土地柄であるが、床下の通風量を確保すること、べた基礎として建物の下には巣を作れなくしてしまうことなどの対策を施し、薬剤の散布は木酢液程度で済ませる。

外壁は外断熱・通気工法を採用する。壁体内の湿気を外部に排出すると同時に、外壁内に進入した水分を構造躯体に伝えない役割を果たす。断熱にも有効で、外壁張り替えや修繕などのメンテナンスを容易にする。外部の断熱材は通気層下地を兼ね、構造強度を期待しなくて良い場合には木質系インシュレーションボード(大建工業 アセダスボードなど)、強度が必要な場合には構造用面材(大建工業 ダイライトなど)を使用する。仕上げには桧又は杉の板材、及び防火サイディングに吹き付け仕上げをしたものを使う。

外壁内部は貫構造の上竹小舞組、土塗り壁(裏返し塗り共)が共通、内壁はその上に2層の下地塗りを重ね、珪藻土塗りの真壁仕上げとする。土塗り壁には断熱材としての役割よりも、室内の湿度・温度などの環境を平均化する調湿体・蓄熱体としての期待が大きい。

1階床には捨て張りとして杉厚板(t=39)を張る。これにより床下空間との気密性が保たれる。又、断熱材としての役目も果たす。ころばしの根太を施工した後杉、桧、松などの縁甲板(t=15)を張って仕上げとする。直接杉厚板を仕上げ板として施工した場合に比べ床仕上げ材の選択の自由度が増すこと、メンテナンス性に優れること、空気層が断熱層として作用すること、空気層に珪藻土などを充填すると蓄熱体を設置できることなど有利な点は多い。

「節あり並材」の使用を前提に組みあげられた「木の国の家」では杉厚板の用法は大きなポイントとなる。しかし、全てがあらわしの化粧仕上げのため現実には最も供給したい並材もその程度を限定される。つまり、化粧野地、2階化粧床などの見え掛かり材として使うには並材といえども一定以上の水準を確保する必要があるのだ。1階の床板は見え掛かり材ではない。さらに杉厚板全使用量の約25%のボリュームを持つ。ここに化粧材としては使用しづらい材を捨て張りとして使用することで並材の大量使用が可能となり、リーズナブルな価格設定が実現に近づく。




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2階床は杉厚板(t=39)下張りの上(下面化粧)ころばし根太を介して杉、桧、松などの縁甲板張り仕上げとする。Jパネル、構造用合板(t=27)などと違い床剛性は杉厚板だけでは得られにくいため火打ち梁を必ず併用する。

板厚が39mmあると半間ピッチの床梁に直接施工して充分なたわみ耐力を持つので意匠に合わせて仕上げ板の張り方向が自由になる。又、畳間との段差解消を複雑な細工なしで実現できるという利点も持つ。

構造材あらわし構法では設備配管スペースが取りにくいものだが、45mmの根太間は格好の配管スペースともなる。




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平屋の建物や瓦葺きなどの重たい屋根葺き材料を使用した場合の建物の外力は地震力によって必要軸組長が決定される場合が多いが、2階建て以上であったり金属板などの軽い材料で屋根を葺いた場合には風圧力が必要軸組長を決定する大きな要素となる。そのため建物の高さを抑えていくということは、デザインや経済性からだけでなく、建物の安全性の確保の上でも非常に重要なことであるといえる。
外壁通気層を通過した空気は桁廻りで排出される。上部には外壁の納まりを付ける見切りがあるのみで効率はよい。

屋根面も外断熱・通気工法を採用する。一度発生してしまった熱を断熱処理するには大量の断熱材を使用しなければならない。「木の国の家」では熱を伝えにくくすることより、熱が発生しにくい工夫をする。

屋根葺き材には通常日本瓦かガルバリウム鋼板(t=0.4)の素板を使用することが多い。断熱層は屋根仕上げ材、防水シートのすぐ下に取る。野地板、空気層の下は杉厚板の化粧野地となりそのまま室内へとつながる。野地板は15mm、化粧野地板は39mmと充分に厚い。面戸板は杉厚板を使用する。タルキにビスにて下向きに取り付ける。木材の乾燥と共に化粧野地板との間に隙間が生じることがあるので面戸板の外側に見切りを取り付ける。この際、野地板からビスにて固定する。面戸板とは必ず縁を切らなければならない。
 


紀南は台風の通り道と言われる。冬場には北西の強風も吹く。その上、「木の国の家」は充分な軒の出を確保している。風への対処は特に慎重に行われなければならない。

通常のタルキはコーチボルトにて桁に緊結されるがグリッドを構成する要所の柱は、建物強度を確保するための金物に関係なく、右図の要領でタルキ・桁・柱と一体となるようDボルトにて緊結する。さらにその柱は柱脚部においてホールダウンなどの金物にてコンクリート基礎に定着させる。つまり、基礎から柱を通じて桁梁、タルキまでを一体として強風に抵抗するわけである。

以下に参考事例として「Nさんの家」(実施設計図面添付)の場合の取り付けヶ所を示す。1階床伏せ図・2階梁伏せ図共緑の○印部分が当該ヶ所である。(赤い部分は基本架構グリッド)
     ▲1階床伏せ図 ▲2階梁伏せ図


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屋根を外断熱・通気工法とするため屋根頂部は軒先から給気した空気の排気場所となる。ガルバリウム鋼板などの金属葺きの場合は現場加工にて通気棟を製作する。瓦葺きの場合には棟瓦、のし瓦の下部に既製品の通気役物を仕込む。

「木の国の家」に天井はなく化粧野地板があらわしで天井に変わる仕上げとなる。通常天井懐となる小屋裏空間はそのまま頭上の余裕空間となったり、ロフトとして活用したりする。
化粧野地板頂部は材の乾燥によってよく隙間が生じるヶ所である。見切り材をあてがうことを忘れてはならない。


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木造建築物の建物強度の考え方については全国的にもまだ統一見解を見ていない。建築基準法は「日本の伝統的な住文化と乖離しすぎている。」という批判に充分に応えられず、確たる方向を示すまでには至っていない。「伝統軸組構法(現在の在来木造とは区別される)の良さを見直し、古来からの“木組み”“木使い”を中心とする木造建築物のあり方を学びながら、もう一度日本の現在住宅を構築し直すべき。もちろん金物による補強など考えものだ。もっと優れた“仕口”“継ぎ手”をはじめとする先人の技が我々の中にはちゃんと残っている。」とする考えと「伝統軸組構法を成り立ちの基本としながらも、現行の建築基準法ができた背景にも鑑み、金物も併用し、これからの木造建築物を創造していこう。」という大きく二つのグループに分かれている。「木の国の家」は後者の考え方に組する。これは、「木の国の家」が「木」を愛し、経済的に豊かな人たちの道楽で終わることなく、人工林との共生を目指し、紀南の産業振興の一助となるために、地域のスタンダードたらんことを標榜するためである。

以下に「Nさんの家」(実施設計図参照)を参考に具体的に述べたい。

建物にかかる外力は主に地震力と風圧力である。耐力壁はこれらの外力を上回る抵抗値を発生するようにバランス良く配置されなければならない。

耐力壁の算定は基本架構を主に考える。下屋や出屋については基本架構に従属するものと解釈する。本参考例の場合は玄関部分のみ桁落ちの下屋としているが、面積が小さいので火打ち梁と杉厚板(t=39)の総合にて水平剛性を確保し、耐力壁は基本架構側にて確保する。基本架構に対して下屋や出屋が大きい場合にはそれぞれのブロックが独立して安全性を確保できるように計画する。又、本参考例のように2階を小屋組空間内に構築する場合にはその部分の面積も1階床面積に加算して計算する必要がある。

平屋の建物や瓦葺きなどの重たい屋根葺き材料を使用した場合の建物の外力は地震力によって必要軸組長が決定される場合が多いが、2階建て以上であったり金属板などの軽い材料で屋根を葺いた場合には風圧力が必要軸組長を決定する大きな要素と
なる。そのため建物の高さを抑えていくということは、デザインや経済性からだけでなく、建物の安全性の確保の上でも非常に重要なことであるといえる。

本参考例は2階を小屋組空間内で構成しているので2階建てとしては最小に属する風圧力で済ませることが出来ている。通常「木の国の家」では、天井を設けない、開口部品を桁下に直付けするなどの工夫で、1階床高650mm、室内高2,500mm、2階床高99mm、室内高2,210mmの設定としている。当地方の標準は1階床高600mm、室内高(天井懐共)2,850mm、2階床高60mm、室内高(天井懐共)2,800mm程であるから、「木の国の家」は1階で300mm、2階で約550mm、合計で約850mm軒高が低いことになる。これを、本参考例程度の大きさの建物に当てはめると、X方向で約28%、Y方向で約20%の風圧力の軽減となる。


 



耐力壁には構造用面材(大建工業 ダイライトなど)を使用する。面材は応力を1ヶ所に集中させることなく充分な耐力(壁倍率 3)を発揮するからである。同時に通気工法の下地ともなり、断熱・気密の用件も同時に満たす。

外壁内部は貫構造となり土塗り壁が施工されている。土塗り壁は実験により壁倍率2.5付近を発揮しているが現行基準法下ではまだ充分に評価されていない。又、当地方で一般に施工されているのが貫寸法105×15の三本貫と土塗り壁下地程度のものなので、基準法どおり壁倍率0.5にて算定している。


外壁廻りは貫構造となること、耐力壁とする内壁については構造用面材の既製寸法の制限を受けることで柱は半間ピッチとなる。

プランによりどうしても壁量が不足する時には筋交いを併用する。筋交いは線材であるから取り付き部に応力が集中する。又、取り付き方向によって応力も変化し必要補強(金物)が変わってくる。そのため現場での小変更に対する対応が難しい。寸法は90×30(壁倍率 1.5)程度のあまり強力でないものを補佐的に採用する。又、外壁部に施工する場合は土塗り壁との取り合いがあり、これより厚いものは施工しにくい。

耐力壁は外壁を中心に配置する。こうすることで「木の国の家」の特徴である基本架構をしっかりと造り、建物内部に可変性を持たせるというコンセプトが生きてくる。壁量のバランスを適切にするため、室内に耐力壁を施工する場合には基本架構グリッドを構成する胴差しの上下が第一候補となる。


▲壁配置図

上図は本参考例の壁配置図である。耐力壁は基本架構の外壁廻りを中心に配置されている。外壁には土塗り壁が施工されているので構造用面材を施工したところは壁倍率が3.5となる。構造用面材は通気層下地も兼ねるので外壁の全てに施工するが、壁量の偏重を避けるため耐力壁の機能を発揮させたくないところも発生する。その場合は釘ピッチをメーカー指示標準施工の倍の間隔にすることで対応するか、木質系インシュレーションボード(大建工業 アセダスなど)に差し替える。不足分は内壁にて補うこととなる。
内壁は木軸の間柱仕様(土塗り壁ではない)である。ここに内壁用構造用面材か筋交いを施工して必要壁量を確保する。

壁量安全率は「良」の範囲(必要壁量の1.2倍~1.5倍)を目指す。(壁配置診断表参照)低倍率の壁をバランス良く配置し、補強金物の設置を最小限に抑える。壁量安全率と共に、偏心率、壁心率、直下壁率などのバランスを良好に保つことにも重きを置く。以上の壁配置の結果、「1階柱壁伏図」に示す金物算定となる。
 


現場ではこの金物算定以外に、基本構成の項で述べた、耐風金物(金物記号 2相当)が無印通りX0、X4、X8、X11の4ヶ所と、Y7通りX0、X4、X8、X11の4ヶ所、計8ヶ所追加される。  
以下の 「柱接合部判定表」に 計算根拠を示す。
 

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