中村伸吾 [木の国の家推進委員会委員長] 近年、日本の住宅は、大手ハウスメーカーによる工業化の進展、ITの発達による情報の共有化などにより、全国どこでも同じようなものが建てられるようになってきた。昔は紀州には紀州の、四国には四国の家があり、それぞれ地元の木を使って、勝手を知った地元の職人の手で建てられていた。元来、住宅建築はそれぞれの地方を代表する大きな地場産業だったのだ。 それが、経済効率優先の工業化によって画一化され、住宅から「地方性」が失われてきたのである。 また、工業化による家は「木」が「木」でなくても良い状況を招いた。大壁の中にしまい込まれ、工業製品として求められる性能だけを満たしていればいいのであれば、もはや「木」は「木」である必要はない。結果、国産材は使われなくなり、環境・経済の両面で循環がうまくいかなくなり、山が荒れた。 地方の工務店や職人たちが、住宅建築を全国規模で産業化していく大手メーカーに建築現場から追いやられていく一方で、「商売になりやすい」という理由からメーカーハウスそっくりなものを、無反省に、すすんで建てる動きがでてきた。これまで守り育ててきた「技」や、「地方性」を自ら手放し始めてしまったのだ。 私たちは昔から、身近な木材を使って家を造り続けてきた歴史がある。それは取りも直さず木造住宅が、その土地の気候や暮らしにぴったり合うものだったことの証になるだろう。 「地方性」を取り戻すこと、「木に国の家」はそれを第一に考えている。紀州材を使うことはもちろん、それが構造材として現しで用いられていることなど、「木」が「木」として存分にその存在意義を発揮できる家をつくりたい。それが住まい手にとっても幸せなことなのだと考えている。 山には伐期を迎えた大量の人工林がある。現場には腕達者な職人達が待っている。木使いを心得た設計者と、山と、現場を繋ぐネットワークが「川上」と「川下」の関係を再構築するシステムの中心とならなければならない。木の家を建てたいと考える人が、誰でも普通に手に入れることが出来る家づくりシステム。そういうものを創り上げたい。 さらに望むのは、住まい手も「住宅を建築する」ということが自分たちにとってなにを意味するのか、もう一度考えてみてほしいということ。家族の将来のこと、健康のこと、財産のこと、ご近所との付合いから環境に与える影響まで。 快適に暮らすための方法を、目の前に用意された安直な回答に頼ることなく探してみてほしい。結局はそれが「木」のためにも「住まい手」にとっても最良の結果となるのだから。
榎本淳一/山長商店 [木の国の家推進委員会副委員長] 「木国家 Kiguniya ( 以下、木国家)」は、「木の国の家」のコンセプトを具現化することを目的として結成されたチームで、「木の国の家」の設計・施工・材料供給を実際に請け負う組織である。 設計2社、施工2社、材料供給2社の計6社で構成され、田辺商工会議所と連携を保ちながら「木の国の家」コンセプトに基づく新しい住宅供給システムを、地域に根ざした形で構築するモデルケースとしての役割を担っている。 一般的な住宅供給の在り方は、、分業化が進み、設計・施工・材料供給を受け持つものがお互いに分断されているきらいがある。 「木国家」では設計・施工・材料供給に携わるものがお互いに緊密なコミュニケーションを図りながら「木の国の家」に関わっていく。 「民家型構法」にルーツを持つ[木の国の家」は、木構造がそのまま意匠として現れ、いわゆる化粧納まりになるため、節有りの構造部材でも仕上げて見せることを前提とした納材が必要となる。「木国家」では一定の品質で標準化された「木の国の家」を住まい手に引き渡せるよう、分業ではなく、協働する体制をとるところに「木国家」の特色がある。
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