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家づくりを楽しむために
 
連載コラム 中村伸吾建築設計室
家づくりを楽しむために−最終回
 
念ずれば花ひらく
月1回のペースで掲載してまいりました「家づくりを楽しむために」も、とうとう60回を超えました。「コンセプトをもつことの大切さ」「地元の木で家をつくることの意味や価値」など、日々感じ、思うことをお伝えしてまいりましたところ、多くの方々からたくさんのご意見やご感想をお寄せいただきました。事務所の存在を身近に感じていただいていることを大変嬉しく思っております。

5年の長きに渡り関心をお寄せいただきましたが、念願のホームページを立ち上げることができたのを機会に、今後の情報発信はそちらに移行し、皆様に心より感謝しながら、本年末を区切りとして、いったんペンを置くことにいたします。

夢に描き、取り組んでまいりました、「地元の木でつくる家」の輪も着実な広がりを感じています。これからも、「住まい手」が健全で快適な暮らしを享受できる「紀南のアイデンティティーに満ちた家」を手に入れていただくために、そして、 美しい「まちなみ」を一緒につくりあげるために、日々精進を重ねてまいります。

今後とも、ご指導・ご鞭撻賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様の願いが大きく花ひらきますことを祈っております。
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家づくりを楽しむために−その63
 
感受性を家づくりにいかす。
着心地、履き心地、乗り心地、住み心地…心地よさは人それぞれの好みや感じ方によって異なるため、数値で表わすことはできないものです。

今日、市場に溢れる製品の性能は、カタログなどで明確に表示され私たちの評価・判断の基準となっています。「数字はウソをつかない」そのことは事実です。しかし、優秀な数字を誇る家がいい家とは限りません。もっと奥が深く、住まい手やつくり手の感性が大きく関わっているのです。

「建築家とつくった家」がマスコミによく取り上げられています。それは、デザインに限らず、住まい手の生き方や生活スタイルなどで「数値で表せないこと」を建築家が汲み上げ、つくりあげることで、空間に魅力がつまっているからだと言えるのです。

数値に満足することなく、自分たちの感性を信じ、大切にしながら本当に心地よい家をつくっていただきたいと思っています。
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家づくりを楽しむために−その62
 
地元の山の木で家をつくる。
先日、富田川上流に「水源の森」を購入する案が、白浜町で可決されたという記事が掲載されていました。「治山は治水」と昔から言われてきたように、森林には、洪水や土砂崩れなどの災害を防ぎ、渇水を緩和する機能があります。

現在、「広葉樹の森を増やす活動」が注目されています。そのことも大切ですが、面積の広い人工林の危機的状況を回避することが、差し迫った課題です。

私たちの身近にあり、環境に大きく関わっている人工林は、適切な手入れと伐採を行えば、広葉樹に負けない豊かな生命を育み、その機能を果たすのです。

日本の森は、歴史の中で幾度か「乱伐による危機」に見舞われてきましたが、今日の危機は「伐らなさすぎること」により直面しています。
山から川・平野、海へと連鎖する自然、地域の営みの中に生きている現実を直視するとともに、生活と直結する「地元の山の木で家をつくる」。そうすることが、人々のくらしに豊かさをとりもどすことに繋がっていくのです。
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家づくりを楽しむために−その61
 
「住まい」は「住まい手」の人格をあらわす。
マラソンランナーの後を流れゆくパリのまちなみ…世界陸上パリ大会の映像から、美しいまちを創っていく人々のエネルギー、美しさを求める生き方をあらためて感じました。

歴史や文化は異なりますが、私たちも「家づくり」を通して、 「まち・まちなみづくり」に関わっていることを意識したいものです。

「間取り」を考えることを、「設計」する事、「デザイン」する事だと思っておられる方が多いようですが、それは、プロセスのほんの一部に過ぎません。

どう生きていくのか。そのためにどんな住まいが必要なのか。構造は鉄・コンクリートにするのか。木なら2×4がいいのか。在来工法にするのか。どんな材料・素材を用いるのか。誰と創るのか。地域にどんな影響を与えるのか。

それ が自分にとって何を意味するのか。手順を一つ一つ踏まえながら、判断し統合することが、本当の意味での「デザイン」です。

地域性、自分たちの生き方を大切にしながら、1人1人が取り組んでいく。私たちが、「美しいまちなみ・まち創り」の主役です。
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家づくりを楽しむために−その60
 
「消費者」から「住まい手」へ。
住まいの「健康への被害」「環境への配慮」などの問題の多くは、プランニングの段階から素材を選ぶことができるお施主さんの責任でもあると言えます。

経済性や利便性を追求し、「キズがつきにくい」「メンテナンスが楽」などの性能を特出させ、人工的に作り出された新建材がもてはやされてきました。その結果、シックハウスや環境汚染といった問題を引き起こしてしまったのです。

もともと住まいは、木・石・土など地域にあった天然素材を風土に合わせて、それぞれの性質・特性をうまく活かしながら創られてきました。住まい手側も、素材の総合性能を理解し、世代を越え上手く付き合ってきました。

家を「消費財」として売りたい側の希望する「消費者」には、決してなりたくないものです。
「住まい手」の立場で賢い選択をするためにも、なぜ今、「自然素材の家づくり」が叫ばれているのかに耳を傾け、素材の総合性能を学ぶとともに、理解を深めていただくことを願ってやみません。
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家づくりを楽しむために−その59
 
「消費者」から「住まい手」へ。
暮らし、地域とのつながり、住み心地…本来、家づくりは、住まい手を中心に考えられてきました。 しかし、住宅産業の発展とともに、経済原理が最優先とされ、本末転倒が始まったのです。

快適な住まいを成り立たせていた家づくりの理屈は、住まい手側を離れ、作り手側のものになってしまいました。家が「商品」として氾濫しはじめ、住まい手は「消費者」にされてしまったのです。

家は、10年、20年…と住み続けるうちに、家族と一緒に呼吸し、家族の思いを栄養としてやっと本当の「住まい」に育っていくものです。「住む」ということは、クリエイティブな行為であり、住まい手はクリエイターなのです。断じて「消費者」ではありません。

味わいと愛着にあふれた「我が家」をつくるためには何が必要なのか。環境への負荷、コミュニティーとのつながりはどうか…快適な住まいを成り立たせる理屈を、もう一度住まい手側に取り戻して真剣に考えていきたいものです。
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家づくりを楽しむために−その58
 
日々の暮らしを優先させる家づくりを。
「家の中で一番日当たりの良い南向きの部屋だから、お客さま用に、ふた間続きの和室にしたいのですが・・・。」そんなご相談を受けることがよくあります。

現在では、昔のように、たくさんの親戚・知人が集って、自宅で慶弔事をすることが少なくなりました。それに替わって、サービス・駐車場が行き届いた、便利な施設を利用することが多くなっています。

一生に何回あるか分からない非日常のために、多大な費用をかけ、最も条件のいい所に、普段使われない部屋をつくるのは、もったいないかぎりです。

むしろ、使い勝手、家族の団欒が日常的に楽しめる空間づくりに取り組む。「明るく、暖かい」といった一番の条件を活かす。そんな家づくが大切だと考えています。
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家づくりを楽しむために−その57
 
作り手、住まい手の在り方を見つめ直そう。
日本の住宅の平均寿命は約27年と言われています。短いサイクルのスクラップアンドビルドが繰り返されることにより生じる、自然の営みへの負荷が急増しています。

100年の耐久性を持つ住宅をつくることは、建築技術的に充分に可能であるにもかかわらず、サイクルが短いのは、「時代とともに考え方や感性が変わること」「便利な設備が普及すること」などの文化的ギャップを建物が吸収できる構造となっていないこと、又、そのことに対する無理解が大きな原因であるといえます。

このことを踏まえて、作り手側が、家づくりに取り組むと共に、住まい手側も目先の利便性・経済性・快適性に振り回されない住まい方の工夫をすることが大切です。「家の寿命は、作り手と住まい手が両輪になって決める」といえるのです。

メンテナンスを重ね、住み続けることで、より味わいのでるものにする。「大切に永く使う」心意気・・・「自然のいのちのバトンをつなぐ家づくり」が広がっていくことを願っています。
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家づくりを楽しむために−その56
 
基本のルールをしっかりまもる。
日本の大工技術は、世界でもトップレベルにあるといわれています。しかし、技術が高いために、無理がカタチになり、木造建築の基本の成り立ちを失ったまま建っている家がたくさんあります。

阪神・淡路大地震の結果をみると、新しい木造住宅でも倒壊したものがみられました。その原因は、建築主の要望に安易に従い、「未熟な素人間取り」のまま建ったために、本来あるべき柱や壁がなくなり、無理が生じていたり、経済性を重視するあまり、耐震について適切な施工がなされていなかった。などの人為的なものも多かったようです。

家族・財産を守る、耐震性・耐久性に優れた家づくりには、建築主の意識が大きく関わっているといえます。 間取りを考え、プランづくりを充分楽しむとともに、「木の特 性」・「木構造の原理原則・基本」をわきまえた専門家の意見にしっかり耳を傾ける。そのことも忘れないでいただきたいと願っています。
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家づくりを楽しむために−その55
 
土塗壁のよさを見直そう。
エネルギーの総量抑制と節約、健康のことを考えるとき、自然の風や光を利用しないことは、たいへん「もったいない」ことであると言えます。物があふれ、豊かになった現在、私たちは暮らしに過剰な利便性や快適性を求めてはいないでしょうか。

例えば、「エアコン」と「高気密・高断熱の家づくり」の関係に目をむけてみましょう。四季折々の自然の恩恵を受けられるこの地域で、過度に設備を使って暮らしをコントロールする必要があるでしょうか。庇を深くし、風通しをよくすれば涼しく住むことができるのに、最初から設備に依存し、「高気密・高断熱」にこだわるために かえって余計なエネルギーを使って冷やさないとならないことに、なっていないでしょうか。

機械設備に依存する前に、まず工夫を凝らしてみる。そして、どうしても足りない部分だけ頼る。

「もったいない」のこころを忘れずに、今ある暮らしをもう一度、見つめなおし、家づくりにもいかしたいものです
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家づくりを楽しむために−その54
 
消費者としての価値観を見直そう。
再生紙、ノンフロン冷蔵庫、超低排出ガス車・・・環境のことを考えたエコ商品が私たちの周りにたくさんあります。なぜ、その商品が注目されるのか、消費者としての私たちの価値基準を今一度、考えてみたいものです。

住宅においては、全国各地で「木・自然素材の家づくり」が盛んになっています。地元の木を使うことで、山村の林業を支え、水源となる健全な森を育み、地域の環境を守っていくこと。また、地元の製材所、工務店、大工などの職人の技術をいかし、家づくりをすることで地域の経済社会が豊かになり、その結果、自分の生活も豊かになるということに気が付いているからです。

「木の家が好きだから」ということで、選択される方もいます。それも決断の要因ですが、「木・自然素材の家に住まうことの価値と意味」、そして、「人と人、自然と人とのつながり の大切さ」の認識を深めたいものです。

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家づくりを楽しむために−2003年始号
 
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は格別のご厚誼を賜り、厚く御礼申し上げます。
「職人気質」という言葉に代表される、つくり手の良心。 心有る消費・使用する側の選択。環境への心配り・・・。

まさに今、大量生産・消費のシステム、私たちの価値観を 見つめなおさねばならない時代に突入しているのだと痛感 しています。

環境、コミュニティー、紀南らしさに心を留め、職能を通じて地域社会に貢献できるように、スタッフ一同、邁進してまいります。 本年もご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

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家づくりを楽しむために−その53
 
解体処理まで見越した家づくりを。
家電リサイクル法、包装容器リサイクル法、グリーン購入法・・・「循環型社会の形成」が叫ばれている現在、家の建築についても、もはや避けて通ることはできません。

「安さ」「見栄え」「効率」を追求して、スクラップアンドビルドを黙認してきた、私たちの意識が問われています。

これからは、「環境負荷が少ない素材」「耐用年数」などを含めて 総合的に家づくりの価値判断をしていかなければなりません。

そうしないと、「建てた当時は、安くできて喜んでいたのですが、取り壊すときに莫大な費用がかかって、かえって高い買い物になってしまいました・・・」ということになりかねません。

「家をつくる」ということは、個人の資産を手に入れるということであり、社会への責務を背負うということでもあるということを忘れたくないものです。
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家づくりを楽しむために−その52
 
緑豊かな「家」「まちなみ」づくりを。
ビルの屋上や壁面を緑化することで、建物の表面温度の上昇を和らげ、省エネルギー効果をうみだして、都市の過熱化(ヒートアイランド)を抑制しようといった活動が注目されています。

自然の力を利用した暮らしを考えるとき、緑がもたらす効用も上手に活用したいものです。落葉樹なら、夏には強い日差しを遮り、葉の蒸散機能・日陰になった地面の保水効果により、涼を呼び込みます。冬には葉が落ち日差しが差し込むので、あたたかく暮らせます。また、防風・防塵・防音・目隠しなどの役割も果たし、季節感豊かな景観をもたらします。

「家づくり」というと、なんとなく建物のことだけに捉われがちです。しかし、自分たちの暮らしはもちろん、訪れる人も心地よくする「まちなみ」づくりにまで視野を広げて、緑を育みたいものです。
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家づくりを楽しむために−その51
 
土塗壁のよさを見直そう。
「日本のように四季のある風土で生まれ育った人は、ある程度温度変化のある中で暮らすことが健康によい」という研究結果があります。

日差し・風通しなどのエネルギー、家・素材の特性を利用して、季節感豊かに暮らしていく・・・そんな暮らしを考えるとき、木・土・紙などの自然素材を家づくりに取り入れることは重要なことです。

たとえば、土塗壁は室内の湿度が高くなれば水分を吸収し、乾燥してくれば水分を適度に発散する調湿性を持っていることはよく知られていますが、夏の暑さや、冬の寒さを和らげる緩衝体「蓄熱体」としての役割も果たします。
エアコンなどの機械設備に過度に依存せずに、紀南の恵まれた環境を享受して生活するには、「外断熱・通気工法」な どとともに「内部に蓄熱体をもった家づくり」も有利であるといえます。

利便性や経済性を追求するあまり、なんとなく遠い存在になってしまっている自然素材。環境・健康の面からも、もう一度見直してみたいものです。
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家づくりを楽しむために−その50
 
理屈に合った家づくり。
囲碁に「定石」といって、古来の研究によって最善とされる打ち方があるように、木の家をつくる場合にも、「そうしたほうがいいルール」があります。

たとえば、「梁が荷重を支えることができる適切な距離で柱を立てる」「二階と一階の柱をそろえる」「梁のあるところに、上階の間仕切りをのせる」・・・昔の民家であっても、現在のモダンな建物であっても、耐震性・耐久性・経済性など、あらゆる点で理にかなっているのです。

その原理・原則・基本に則さないで、補強や金物に頼って、何が何でも自分の思う空間をつくることを押し通そうとする、危なっかしい場面に出くわすことがあります。たとえ空間がつくれても、どこかにムリが生じてくるものです。

私たち日本人が好む木の住まい。昔も今も変わることがない「木づかいのルール」に則った家づくりを忘れたくないものです。
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家づくりを楽しむために−その49
 
木の特性をいかした家づくりを。
アウトドアに欠かせないキャンプファイア。木を燃やすとき、私たちは細くて小さい燃えやすい木から火をつけます。「大きな木はすぐには燃えない」ということを経験で知っているからです。

「大きい」「太い」「厚い」木を使うとことは、細いもので組み上げるよりも火に強くなり、耐久性も高くなると言えます。

また、含水率が15%の一本の柱には約1.5リットルの水が入っていて、含水率が5%変化すると500ミリリットルもの水分が出入りするという実験結果があります。これは、たくさんの体積の木を使うことによって、私たちの想像を超える調湿効果を得ることができるということです。
木の持つ調湿性を引き出し、耐火性・耐蝕性・耐久性・耐震性をいかすために、「木は大きいもの、太いもの、厚いも の、そして、体積をたくさん使う」ということをおすすめします。
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家づくりを楽しむために−その48
 
乾燥材を用いた家づくりを。
木の耐久性、調湿性などの特性を引き出すことを考えると、「木は見えるように使う」ことが大切だと前に述べましたが、そうしたときに大切になってくることは、「乾燥材を用意する」ことです。

木に調湿性があるということは、空気中の気温・湿度が変化すると、木の中の水分も増えたり、減ったりするという事です。この変動が大きいと、伸縮・割れ・反り・くるいが起きやすいので、建築用材として使うときには、特に乾燥度に注意をはらうことが大切です。乾燥材を用いるか否かが家の耐久性・見栄えに大きく反映されると言えます。

乾燥材はいくぶん高くなりますが、長い目で見れば、決して高い買い物ではありません。

設備や間取りといったことに、ついつい目がいきがちな家づくり。
家の骨格となる木の種類は何か、乾燥材なのかということにも気を配りたいものです。求める家づくりをしていただきたい。そして、「どうしても足りない部分だけ機械設備で補う」というスタンスが大切だと考えています。
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家づくりを楽しむために−その47
 
本末転倒にならない家づくりを。
家族がいっしょに過ごせる、まとまった空間を確保する。人・環境にやさしい自然素材を用いる。軒を低くし、風通しを考えて窓の位置や大きさを決める。そして、調湿効果のある材料を用いて、雨が多く、湿度が高い気候風土に快適に住まう・・・「家族のコミュニケーションを大切にし、健康で心地よく暮らせること」家づくりの基本は、案外身近なところにあります。

ところが、プランの打ち合わせに入った途端、「エアコンの効率を考えて、もっと部屋を小さく区切ってください」、「掃除が楽な新建材にしてください」など、基本はどこへやら。過剰に利便性・合理性を要求するあまり、本末転倒をおこしてしまうことがよくあります。

  基本を忘れずに、アイディア・工夫を凝らして、自分たちの求める家づくりをしていただきたい。そして、「どうしても足り ない部分 だけ機械設備で補う」というスタンスが大切だと考えています。
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家づくりを楽しむために−その46
 
素材の特性をトータルに引き出す家づくりを。
せっかく、優良な「紀州材」を使っているのに、壁の中に隠してしまっている、そんなもったいない話を伺うことがよくあります。

「手間がはぶける、きれいに仕上がる」ということで、柱や梁を壁の中に入れてしまう建築様式が主流になっていますが、木の耐久性、木が呼吸し調湿する機能等の、木が本来持つ特性を引き出すことを考えると、「木は見えるように使う」ことをおすすめします。

「昔の家はよかった!」的なノスタルジーから、こんなことを言うのではありません。そうすることが、この地で快適に住まうための、最も適切な方法であると考えるからです。
「木の家は心地いい」「人にやさしい」と言われます。しかし、それは、 木材の性質を正しく理解して、きちんと扱って建て られた家に言えることです。五感で木の良さを体感することができる、そんな家づくりを心がけていただくことを願っています。
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家づくりを楽しむために−その45
 
「コンセプト」を素直に表現しよう。
家というものは、人それぞれに好みがあり、比較のできるものではありません。また、みんなが「いい家」と評価をしても、住まい手にとって必ずそうであるとは限りません。
おもしろい、個性が伝わる家というのは、コンセプトが素直に表現された家だといえます。

「何十冊もの専門誌を読み、何十件もの展示場を訪れ、自分で一生懸命勉強をしていたが、うまくいかなかった。」という方が、相性の合う建築家に出逢い、「自分が何を求めているのかを伝え、質問を発し、回答を求め、アイディアに耳を傾けたことで、イメージしていた家ができた。」「あれこれ悩んでいた、家づくりの道すじが明確になった。」という嬉しい話を耳にすることがあります。
「家づくり」は人生の大きな転機・チャンスです。チャレンジ する価値があるものです。「家ってこんなもの」と妥協しないで、あなたの「コンセプト」を追求していただくことを願ってやみません。

建築家がお施主さんと語り、情熱を注いだプランをカタチにするために、「設計」と「監理」を別々にしない家づくりをしていただきたいと思っています。
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家づくりを楽しむために−その44
 
設計と監理は一体のもの。
美しいシンフォニーを奏でるオーケストラ。指揮者はただ単にタクトを振っているのではありません。譜面を読み取り、おこし、それぞれのパートとコミュニケーションをとり、音色などの微妙なニュアンスまで突き詰めて曲を完成させているのです。

設計事務所の仕事についても同じようなことがいえます。「設計図」は楽譜のようなもの。それを忠実に再現する指揮者がいなければ、設計者がイメージした建物を完成させることはできません。

「設計」の作業と「監理」の作業を別々に発注したために、思ったものができなかったというケースがたくさんあるのです。
建築家が頭に描いた建物の完成イメージのすべてを、図面の指示だけで、第三者が100パーセントカタチにすることは できません。

建築家がお施主さんと語り、情熱を注いだプランをカタチにするために、「設計」と「監理」を別々にしない家づくりをしていただきたいと思っています。
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家づくりを楽しむために−その43
 
家族の一体感を取り戻そう。
「そんな広い空間にすると、冬は寒いし、夏は暑いんじゃないですか。」・・・プランニングの際に、お施主さんから、よくこんな質問をいただくことがあります。  確かに、熱効率を考えると、「広い空間よりも部屋をいくつかつくるほうがいい」というのも一理あります。しかし、熱・湿気・風通し対策をきちんとすれば、その問題はクリアできるのです。

紀南は、気候風土に恵まれた、暮らしやすい地域であるがゆえに、断熱・蓄熱対策といったことにあまり注意をはらってきませんでした。その結果、「大空間は寒い」といった先入観をもってしまう方が多いのだと思います。

  また、部屋をいくつもつくるということは、プライバシーが守られる反面、一人一人が孤立しがちになってしまうということも忘れたくありません。
家族が一つの空間で、お互いの存在を確認しながら過ごす・・・
大空間の良さを見つめなおし、家づくりにうまく取り入れていただきたいものです。
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家づくりを楽しむために−2002年始号
 
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は格別のご厚誼を賜り、厚く御礼申し上げます。
ひとをかがやかせ、よろこびをともに分かち合う仕事への誇り。そして、まちがときめくか否かの鍵のひとつは、私たちの手に委ねられているという責任感と使命感・・・。
2002年の幕開けに際し、「より地域社会に役立てる設計事務所」であることを期し、コミュニティーを大切にした空間づくりにスタッフ一同邁進してまいります。
本年もご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。
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家づくりを楽しむために−その42
 
「紀南らしさ」をつくりだそう。
東北・関東・関西・九州・・・日本の各地の住宅街をみてみると、地域によって気候・風土が異なるはずなのに、同じような家が建ち並んでいます。利便性・効率を追求するあまり、ここ数十年で日本の住風景は一変してしまいました。

職人が腕を揮う場所を奪い、代々受け継がれてきた、地域独特の家づくりの知恵と住文化を置き去りにしてきたのです。

日本人が得意とする柔軟で自由な発想で、先人が築き上げてきた知恵と技術をいかし、新しいものをうまく取り入れて、「伝統に裏付けられた新しさ」を、私たちはつくりだすことができるはずです。

木材など恵まれた地元の資源を有効に使い、森林の保全に家づくりを通して貢献する。地元の職人が誇りをもって腕を揮える機会をつくりだし、喜びを分かち合う・・・そんな、地域を大切にした、「紀南らしさ」にこだわった家づくりの輪が、広がっていくことを願ってやみません。
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家づくりを楽しむために−その41
 
「木」の家に住む価値と意味を学ぼう。
健康・環境意識の高まりとともに、木の家・自然素材の家への関心が全国的な広がりをみせています。そして、書店の建築雑誌のコーナーにも「木」の良さが見事に表現された住宅の特集があふれています。

「せっかく構造に木を用いているのに、壁を新建材で覆い、木の特性がいかされていない家」でなく、「木の優れた性質と特長が、構造からデザインにまでいかされた家」を求めるのは当然のことだと思います。

ところが、現実は思うほど簡単ではありません。肝心の「木」の部分が割れる、曲がる、色あせる、工事が長引く・・・望んでいたような仕上がりにならず、挙句の果てに大変な高ものになってしまったという、冗談のようで笑えない問題が身近に起こっています。

長く付き合え、評価も高い、この国の住文化を支えてきた「木」という素材。彼らとの付き合い方を学ぶとともに、その特性と特徴を最大限にいかす「木」を「木」として使う工夫を凝らしたいものです。
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家づくりを楽しむために−その40
 
使い捨てにならない「家づくり」を。
昔は家を建てると、そのときに「木」を植えました。
「この家は百年はもつから、百年後に家を建てるときにちょうどいいだろう。」・・・そんな時間感覚をもっていました。今のそれとは随分違うようです。この話から今回は二つのことに着目しました。

一つは、住宅を「資産・財産」と認識し百年を越えるスパンで寿命の設定をしていたということです。現在の住宅の平均寿命は統計によると二十六年程度ですが、本来ローンを払い終わるとすぐ寿命を迎えるようなものは、ただの「負債」で「資産・財産」とは言えません。手直しをしながら、家族のアイデンティティと共に「親」から「子」へと受け継げてこそ価値があるのです。
もう一つは地域循環、環境循環という考え方です。私たちの文化は、それぞれの地域に存在する素材をいかして、自然の中で調和のとれるものを創っていく中で育まれてきました。「住宅建築」は地域の経済や環境に密接に関わっているのです。

目先のことにとらわれない、地域の経済や自然環境の保護に役立つ家づくりを忘れたくないものです。
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家づくりを楽しむために−その39
 
しっかりとした価値観を。
「日本は、経済は一流。文化は三流。」という意見を耳にします。私たちの、経済性、利便性、合理性を過剰に追求する姿勢もあきらかに方向転換の時期が来ています。

ゴミや環境問題などを国の内外にわたって引き起こしたり、区画整理事業で安全を優先するあまり、せっかく成立していたかけがえのないコミュニティーが崩壊する集落があったり、住まうことに対しての優先順位をつけ間違えたためにシックハウスやハウスダストに悩んだり・・・私たちにとっての「幸福」「快適」とは何なのでしょうか。
そして、私たちは流行に流されすぎだとも感じています。
外壁サイディングに内部はクロス貼り。深い考えも無しのバリアフリー・・・日本国中同じ家があふれています。

本当に多くの警鐘が鳴らされている今日、目先のことにとらわれないで、そして氾濫する情報に流されないで、しっかりとした判断力を持ち、次世代のために責任を果たしていきたいものです。
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家づくりを楽しむために−その38
 
家族の変遷を包み込む家づくりを。
「部屋でごろごろしないで、勉強しなさい。」「きちんと掃除しなさい。」・・・夏休みを迎えて、家族紛争が絶えないご家庭も多いのではないでしょうか。

私たち親は、「落ち着いて勉強させてあげたい。」「心地よい環境で自立心を養なってほしい。」と願って、子供に部屋を与えたはずです。にもかかわらず、かえって勉強しなくなったり、だらしなくなったり。そして、親の干渉に対して、「カギをつけてちょうだい。」「ボクの部屋に勝手に入らないで。」と部屋を与えたために、親子関係がギクシャクしたりするケースが多いように思います。

私たち親はどうしても子供中心に物事を考えがちで、自分たちのことを犠牲にしているようにも思います。

安易に子供のことを第一に考えた家づくりではなく、歳月の経過とともに移り変わる家族の暮らしを包み込む家づくりが大切だと考えています。
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家づくりを楽しむために−その37
 
住文化の違いをきちんと認識しよう。
日本の住まいは「傘の家」、欧米の住まいは「壁の家」とよく言われます。梅雨時の雨に備える長い庇の屋根、それを支える柱・梁・・・先人達は気候・風土に合った開放的なスタイルの住まいを築いてきました。

一方、欧米では、厳しい冬に備えるために、窓も少なく、閉鎖的な住まいを築いてきました。閉鎖的な住まいといっても、家族間や隣近所とのコミュニケーションを大切にする、きちんとしたマナーとルールを守って暮らしているのです。

「壁の家」が多数占める現在の住宅。格好がいいからということだけで、「壁の家」を持ち込んで住んでいないでしょうか。「壁の家」には、日本の夏を乗り切るためにエアコンをフル稼働させないと過ごすことができなかったり、家族一人一人が個室で過ごすために、プライバシーが一人歩きして、コミュニケーションがうまくとれないといった要素もあるのです。

そういう点を認識したうえで、家族が「いい関係」で暮らせる、「いい住まい」を築いていただきたいと思っています。
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家づくりを楽しむために−その36
心地よい住まい。
効率・利便を追求する家づくりへの疑問。
「古い家を建て替えて、暮らしやすくなったのですが、前の家のほうが落ち着けたように思います。」とおっしゃる方に出逢いました。

  太い柱、梁、軒、土壁、縁側・・・自然素材でできたその住まいには職人たちの技術と工夫、暮らしの知恵がいっぱい詰まっていました。

人の祖先が誕生したのが約400万年前、文明は約5000年・・・長い歴史の中、人は自然の中で、そして、その地の自然素材を使って住まいをつくり、暮らしてきました。そのことにより、「自然素材に囲まれて暮らす」という因子が、私たちの体に組み込まれているのだと思います。現在のような新建材・石油製品でつくられた家が登場して僅か数十年、「落ち着けない」「しっくりとしない」のはそのためではないでしょうか。

工期、手間、価格、効率を追求し、新建材なしでは語れない現在の住まい。今のまま、効率を追求していくのか、私たちが本当にそれを求めているのかを見つめなおすことが必要だと思います。
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家づくりを楽しむために−その35
固定観念にとらわれない、自由な発想で家づくりを。
自分の好みやライフスタイルにあうものを選んで、品質・性能をチェックしたり・・・日々の買い物にあれだけ神経をつかっているのに、一生のうちで大きな買い物である「家」にはあまりにも無造作であるように思います。

また、「一階にはキッチン・リビング・和室、二階には子供部屋・・・」家はこうあるべきだという固定観念にとらわれすぎているようにも思います。

何よりも第一に、自分たちが何をもとめているのか、どう暮らしていきたいのかを明確にすることが大切です。そして、そのために必要なものを選択し、創意工夫を凝らしていく・・・。目標がはっきりしていれば、迷うことはないはずです。観念にとらわれなければ、家づくりがもっと楽しくなると思います。

もっと自由に、あなたらしく。時間と情熱を投資し、家づくりを楽しんでいただきたいと思っています。
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家づくりを楽しむために−その34
 
自然と調和し、協調した住まいを。
ネイティブ・アメリカン(アメリカ・インディアン)の長老は、「山に目を向けなさい。」といいます。山の頂から見渡すように、これから続く何世代も先の者たちのことを考え、広い視野で物事を見るようにと論しています。

環境・人工・食糧問題など、多くの警鐘が発せられている中で、私たちは快適性・利便性を追求しすぎているのではないでしょうか。

たとえば、住宅では冷暖房効率を上げるために、高気密・高断熱にしていることが、かえって木の持つ特性をいかせず、住宅の寿命を縮め、健康にも影響を及ぼしています。少し不便でも、環境の事を考えた、人間の生理にあった住まいづくりが大切だと切実に感じています。
人々が腰を据え、いくつもの警鐘に耳を傾けるのであるなら、現在の技術と受け継がれてきた伝統的な知恵とが結びつき、多くの問題を解決していけると信じています。
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家づくりを楽しむために−その33
 
「人生の転機、 『家づくり』というチャンスを生かそう。」
先日、ある本の一節が目にとまりました。「昔、日本の男たちは住んでいる村の名前で呼ばれていた。清水の次郎長は清水村に住む次郎長だからそう呼ばれ、国定村の忠次も大前田の何とかやらもそうだった。」
なるほど、現在の男たちの肩書きはみんな市役所にお勤めの○○さん、□□会社の○○さんばかり。自縁コミュニティーよりも、職能コミュニティーに偏りすぎている気がします。子供のことも、ご近所のことも、何かと奥さんまかせになりがち。。男性が地域のことに積極的に参加し、自分たちの手で暮らしやすいコミュニティーをつくっていくことが大切です。なかでも、家づくりは、自分たちが暮らすまち、人とのつながり、そして、家族のことを見つめ直す大きなチャンス。
家の設備や間取りだけでなく、地域のコミュニティーにも目をむける、ゆとりある心を持ちたいものです。
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家づくりを楽しむために−その32
 
「ふるさと」を輝かせる家づくりを。
「紀南らしさ」が少ないことに驚くとともに、残念に思う最近の住宅。和歌山は「木の国」とよばれ、木の産地として全国的にも有名でありながら、さみしいかぎりです。
これまで、「自然素材でこの地域に適した家を考えてみませんか。」という提案をしてまいりましたが、それに加え、「木材をはじめとした地元の材料、地元の職人さんやお店を活用した家づくり」が大切だと痛感しています。
わが国は、「木」を大量に海外から調達していますが、私たちにとっても相手国にとっても、現実は決して良いことばかりではないようです。それに「木」はそれぞれの産地独特のカビや虫に対する抵抗力を持ち、気候・風土に適応しているため、地元で使用することが一番良いのです。
住宅を建てるときの選択ひとつで、どんな快適な生活を手に入れられるのかということとともに、地域を衰退させること も、輝かせることもできるということも、しっかりと捉えていたいものです。
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家づくりを楽しむために−2001年始号
 
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は格別のご厚誼を賜り、厚く御礼申し上げます。
心暖まる、心躍る・・・すぐれた建築物には、人の心を打つものがあります。

豊かになった日本。気候・風土に恵まれた紀南。

この地で育まれた文化を建物に、そして『まちづくり』にいかし、心に響く空間創りにスタッフ一同邁進してまいります。
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家づくりを楽しむために−その31
 
雪月花...四季を愛で、自然ととけあう住まいを。
最近、建築関係法規の改正にともない、ますます住宅の高気密・高断熱化が促進される傾向にあります。しかし、ポリフィルム等で密閉し、大量の断熱材を屋根や壁に充填したうえで、強制給排気設備に頼って生活する、新建材や石油製品だらけの住宅が、実は、自然や人間に大きなリスクをもたらすものだとわかってきました。

「日本で1、2に住みやすい。」といわれるこの地域で、住宅を高気密・高断熱化してまで冷暖房効率に気をつけなければならない日が、年間何日あるのでしょうか。ほんの少しの日のために、そんな家が必要なのでしょうか。
自然素材でつくる家は特殊なものではありません。むしろここ30年間に建てられた新建材や石油製品だらけの住宅が特殊であると思うのです。軒高は高すぎず、軒の出をしっかり出して、効果的な開口部の計画をし、日当たりと通風に対処する。土塗り壁や板壁等で湿度の調整を心がける…
私たちの忘れかけている、「先人達が工夫をこらしてきた、この地域の住文化」を見つめなおすことが、今一番必要なことではないでしょうか。
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家づくりを楽しむために−その30
 
住宅建築にできること。
地球温暖化防止の手立てとして、温暖化ガスのCO2(二酸化炭素)を吸収する森林が注目されています。CO2は、木の幹・枝に姿を変え、朽ち果てるまでそこに蓄積されます。吸収力が大きいのはスギの場合、樹齢50年までの木で、その後は徐々に低下していくそうです。
50年生の木を使用した場合、日本の住宅の平均寿命は二十六年と短くスクラップアンドビルドのサイクルが早いため、せっかく固定したCO2を2倍のスピードで排出しているのが現状です。
住宅は部分に分けて考えていくべきです。柱・梁・床板・屋根下地など基本構造部分には太く・厚く・大きい木を使い、100年サイクルの耐久性を持たせる。化粧材や設備については、20年〜30年を目安にメンテナンスを考える。50年生きてきた木に、家として100年の命を与えて、はじめてCO2の削減は実現できるのです。
経済性とともに、地球との共生は、住宅建築にはなくてはならない視点なのです。
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家づくりを楽しむために−その29
 
住宅のライフサイクルに関心を。
ある雑誌に、「山などに不法投棄されるものの8割近くは建築廃棄物だ」と掲載されていて、心が痛みました。「捨てる人が悪いんだ。」と言えばそれまでですが、本当に私たちに責任がないと言えるのでしょうか。
建設省の調査によると、イギリスの住宅寿命は75年、アメリカ44年、日本は26年だと掲載されていました。欧米に比べ、日本ではスクラップアンドビルドのサイクルが早いこと、様々な石油製品の新建材を使うため分別がむずかしいこと、リサイクルや解体工事に対する認識がきちんとできていないことが不法投棄の一因だと思います。
私たちは、不法投棄による環境破壊の被害者となりうると同時に、加害者になる可能性もあるということを忘れたくありません。
ローンの支払いが終わると資産価値がなくなり、解体され、リサイクル処理が困難な廃棄物になるような住まいではなく、「地球とともに生きている」という視点からも住まいを考えたいものです。
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家づくりを楽しむために−その28
 
コンセプトを確立し、指示書を作成する仕事。
税務の代理や税務書類の作成などをする税理士さん、傷病の診察・治療をするお医者さんの仕事など、お客さんの状況を知ってはじめて、その職能や経験をいかせる仕事があります。
住宅の仕事もそういう仕事だと思います。お施主さんの家族構成や生活スタイル、要望をきちんと把握した上で、建築士の職能、アイディア、培ってきた経験を盛り込み、コンセプトを確立させることができます。それから、そのコンセプトを現実にするための図面などの指示書を作成するのです。
決して、お施主さんと顔をあわせることなく、短期間のうちにできる仕事ではありません。それは、住まいの目に見えない最も重要な礎なのです。
しかし、目に見えないものであるが故に、その大切さや価値をご理解いただくのが難しく、残念に思うことがしばしばあります。
目に見えるものだけにとらわれず、『いかに暮らしていくか』ということを大切にしていただきたいと思います。
日本が大切にしてきた伝統、繊細さ、優美さ、人の手による美と自然との調和、季節の移ろいを楽しみ暮らす工夫。そんな良いところを見つめ直し、家づくりにいかしていきたいものです。
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家づくりを楽しむために−その27
 
日本から発信する世界の言葉。
先日、東京で開催された、講演会に参加する機会がありました。その中で、「まちづくり」という言葉は「カラオケ」や「寿司」「武士道」「もったいない」といった言葉と同様、外国語に直しても「matidukuri」と書く、日本の民間から世界に発信した言葉だということを改めて伺い、嬉しく思いました。
同時に、日本のどこかで、私達と変わらない立場の人たちが懸命に取り組んだ活動の「あり方」が、世界の言葉として取り上げられている事実を、とても誇らしくも思いました。
「『まちなみ』の美しさは、そこに住む住民の『志』の高さで決まる。」といいます。自分たちのルール、良識を持って、コミュニティーを大切にしながら、「自分たちの『まち』を自分たちの手で育んでいく活動」に参加していく。行政には、民間ではできないことをお願いする。そんな活動と時間の積み重ねが、住みやすく、魅力あふれる「まち」を形成していくのだと感じています。
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家づくりを楽しむために−その26
 
自分のものさしに、現実感をあたえることが大切です。
あまりにも機能づけられてしまった住まい。西洋化された暮らし。そんな現在にあって、日本建築の良さをとりいれた住宅やまちなみを訪れるとき、自然と心が和み、なつかしさや新鮮さを覚えます。
戦後の民主化や住宅難の中で、封建制度を象徴する無用の長物として目の敵にされた床の間。玄関のこしらえ。内部空間と外部との接点で家事やコミュニケーションの場として活躍した縁側・土間。障子、格子、畳の間…。私たちの幼かったころ身近だったものが、住宅からずいぶん少なくなりました。
それとともに、風鈴、打ち水、簾など夏に涼感を呼ぶ工夫、気持ちの良い大空間なども見かけなくなりました。
暮らしやすさや機能を優先してきた結果であり、自然の流 れなのかもしれませんが、住宅は生活の場だけではなく、文化と密接にかかわり、心を育んでいることを忘れたくありません。
日本が大切にしてきた伝統、繊細さ、優美さ、人の手による美と自然との調和、季節の移ろいを楽しみ暮らす工夫。そんな良いところを見つめ直し、家づくりにいかしていきたいものです。
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家づくりを楽しむために−その25
 
自分のものさしに、現実感をあたえることが大切です。
システムキッチン、床材、壁紙…多くのメーカーから、膨大な量の住宅関連商品が販売されています。カタログやパンフレット、専門誌の数も半端ではありません。
データを集め、自分の好きなもの、価値観にあったもの、いろいろなものを学ぶことは大切です。そして、その中から、実際に気に入ったものを手にとってみたり、肌で感じ、『自分のものさし』に現実感をあたえていくことが、もっと大切なのです。

肌で感じることにより、こんなことを覚えた、こんな事に気づいたという、気づきのヒントがたくさん生まれてきます。また、違う角度、もっと別の視点から見ることができるようになります。

『どんな暮らしがしたいのか、何を求めているのか、わからない。』と焦る必要はありません。少しずつデータを集め、研究し、体験し、納得して感覚を磨いていけばいいのです。そうすることで、家づくりが楽しくなり、自分らしさの再発見にもつながるはずです。
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家づくりを楽しむために−その24
 
家づくりには「取捨選択」が必要です。
美しい外観、明るく広々としたリビング、すっきりした清潔感あふれるキッチン…たくさんの住宅・インテリア専門誌が出版され、読者を魅了しています。情報がたくさんあることは悪いことではありません。しかし、あり過ぎるがゆえに、戸惑ってしまいがちです。

『費用をかけずに、この本の写真のような、豪華な部屋にできませんか。』『窓を大きくとって、同時にその部分を他の部分より頑丈にしてください。』など、お施主さんから矛盾するような要求が出されることもしばしばです。

建築家の視点から必要なことは、アドバイスさせていただきますが、いくつもの難しい局面に直面します。

『せっかく新築するのだから…』ということで、あれもこれも同時に欲しがる気持ちもわかります。しかし、納得できる住まいをつくるために、『どう暮らしていきたいのか』『そのためには何が必要なのか』『何を優先させるのか』を見極めることが大切なのです。
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家づくりを楽しむために−その23
 
自然に家族が集まる。そんな空間づくりを
どのように使われるかで、建物は名付けられます。たとえば、映画を見るための建物は映画館。食事をするための建物はレストラン。では、家は主に何をするための建物なのでしょうか。『寝る場所です。』と言う人もいます。でも、寝るだけならホテルへ泊まれば済むはずです。食事も入浴も教育も外の方がサービスの質が高くて、家で行われる行為の大部分は家以外で可能です。
しかし、家族の『だんらん』は、家でしか日常的に行うことができません。

おしゃれな家をつくったのに、子供は子供部屋に、夫は書斎に引きこもってしまって、家族のふれあいや会話が少なくなってしまったという例がたくさんあります。
家は、家族が『だんらん』するためにつくられるべきだと思います。日常の動きや心模様、そして、家族という人間関係にも大きな影響を与える住まい。家族の絆を強め、幸福を育むために『家』はありたいものです。
お施主さんの『まちづくりに参画するのだ。』という意識と建築家の出逢い。そんな出逢いが、良質な社会資産(住宅)をうみだし、美しい『まちなみ』『まち』をつくりだしていくのだと信じています。
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家づくりを楽しむために−その22
 
志を持って、子供たちの未来にかかわる責任を果たしたい。
新しく建て替えられていく家々。年々変化する『まちなみ』『まち』、所々に『すばらしい。』と思える家や空間があるのですが、全体はなかなか美しく変わっていきません。『住宅』の難しさは、私的なものではあるけれども、『まちなみ』を形成する一つの建築物であり、社会資産でもあることです。お施主さん側は、心にゆとりを持って、『まちづくりに参画するのだ。』という意識をもつことが大切です。一方、『まちづくり』と『住宅』の専門家である私たち建築家は依頼された『住宅』一軒一軒の完成に、相当な時間とエネルギーを費やしていますが、毎年数え切れないほどの『住宅』が建てられる中で、直接携わっている『住宅』はほんの一握りです。もっと職能をいかすために、より多くの方と『まちづくり』について意見を交換しあえるような、出逢いの場をもてないものかと感じています。
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家づくりを楽しむために−その21
 
イメージが先行しすぎると、暮らしやすい、個性あふれる家はうまれません。
『どんな家にしたいですか?』『そうですね…一階にはリビングとキッチンと和室、二階には子供部屋と洋室が欲しいですね…。』新しいお施主さんと初めてお会いしたとき、いきなり部屋割りの話からはじまることがあります。『なぜ欲しいのですか?』『その部屋で何をするのですか?』『誰が、いつ過ごすのですか?』など詳しくたずねると、だんだん答えがしどろもどろになってきます。私たちの家づくりは、『家とはこうあるべきだ。』という観念にとらわれ過ぎていて、『家でどう過ごしたいのか』『どうすれば快適に暮らせるのか』『五年後、十年後…将来、各部屋をどう使っていくのか』など、何よりも大切に考えなければいけないことを見失いがちです。人の生き方が百人百様であるように、人々の暮らしにもたくさんのバリエーションがあります。憧れている家、気に入った家を模倣するよりも、家族とふれあい、長い人生を楽しみ、遊び、暮らす家、個性あふれる空間をつくりだして欲しいと思います。
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家づくりを楽しむために−その20
 
コミュニティーとのつながりを大切に、住人の手による『まち』づくりを。
ふと訪れたとき、「心地いいな。」と感じる住宅地では、道路の両側を公園のように美しくするために、塀をつくらず、家を一定の距離後退させて建て、その分緑化することが基本的な考え方になっていたりします。日本の住宅地をみると、塀や垣で敷地を取り囲んでいる家がほとんどです。アメリカなどと比べ、敷地が狭く、塀・垣・フェンスなどで家を取り囲まないとならない場合もありますが、気に止めていただきたいのは、塀・カーポート・門も、住宅地の『まちなみ』を形成する重要な要素だということです。塀の高い家は、自らコミュニティーとの関わりを拒絶してるように思えて仕方がありません。一軒一軒の家が隣近所のことも考えて住まいづくりに取り組んでいただきたいと思います。例えば、町内全体で塀のかわりに生垣をつくり、家と道路の両方からその縁を楽しめるようにする。それだけのことでも環境は、うんとよくなるものです。
『美しい「まちなみ」づくりは役所がするもの。』 と、思ってる方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際は、住人が手をかけなければ、『住みたい町』を生み出すことはできないのです。
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家づくりを楽しむために−その19
 
施主さんの要望・潜在的なニーズと建築家の知識・経験の融合。
設計料には価値がある。
洋服やカバンなどの買い物をするとき、あれこれ迷うものです。まして、家を建てるときなら、なおさらです。どこで建築してもらおうか迷われている方から、『だって設計事務所に頼むと高いんでしょ?』という声を時々耳にします。高いと思っているのは、いい家をつくるために、どこにお金をかけるべきなのか理解されていないからではないでしょうか。『設計料』は建築家が製図板やパソコンに向かっている時間だけに払っているのではありません。建築家は、施主さんの要望や、施主さんも気づいていないニーズを整理しながら、その特徴を引き出し、家族のつながりや将来、まちとの調和も考え、暮らしやすいデザインを提案するのです。その中には、建築家の知識と経験とアイディアが盛り込まれています。
そこに『設計料』としての価値があるのです。施工業者の見積の適正や、設計通りに施工されているか、手抜き工 事はされていないかなどをチェックしたり、様々な仕事も含まれています。また、完成後も図面を大切に保管し、メンテナンスにも備えているのです。案外簡単に決めてしまいがちな家づくり。人生にかかわりあいが大きい事だけに、もっと時間とエネルギーを費やしていただきたいと思います。
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家づくりを楽しむために−その18
 
知識とアイディアを駆使し、自然と調和した、美しい家づくりを。
スイスの緩やかな斜面に建つ家々は、スイス特有のシャレーと呼ばれるつくりで、一階部分を石で、二階を木でつくった美しい建物です。その基礎部分は、日本の住宅もそうだったように、斜面に手を加えないで、土地になじませて建てられています、もし、現在の日本人がスイスに家を建てるとしたらどうなるでしょうか。 日本の郊外の丘陵地にある新しい住宅地のように、擁壁をつくり、斜面を削り取り、アルプスの美しい景観を台なしにしてしまうかもしれません。日本では、擁壁をつくり、斜面を削ることが定着してしまっています。平らな敷地を求める買い手や法の要請、宅造の基準などがあり、致し方ないところもあります。樹木などをそのまま残し、それが繋がって全体の風景となるような住宅地…決して不可能ではないはずです。また、斜面を利用して建てることにより、おもしろい空間が生まれたり、思いもよらなかった副産物を手にすることができたりするものです。美しい 『まち』『まちなみ』をつくるためにも、建築士の知識やアイディアをおおいに活用していただきたいと思います。
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家づくりを楽しむために−その17
 
のびのびと暮らすために、まとまった空間の確保を。
壁でいくつもの部屋に区切られている現在主流の住まい。各部屋に冷暖房設備が取り付けられていて、熱効率もよく快適に思えます。また、個人のプライバシーも確保され、暮らしやすそうにも見えます。しかし、本当にそうでしょうか。狭い空間ゆえに人間の影響をすぐに受け、人いきれで不愉快になったり、閉塞感を覚えたり。また、家族から離れてしまうため、なんとなく不安だったり…。そこに住まう人々がよほどしっかりしたものを持っていないと、せっかく手に入れた『家』に思いもよらない家族のあり方を押しつけられることになりかねません。家族の団らんを大事にし、精神的にも生理的にものびのびと暮らすためには、ある程度のまとまった空間が必要です。『人』が快適に生きていくには、そこそこの『空気』の量が必要なのです。小部屋に区切っていないと多額の光熱費がかかるとか、プライバシーが確保できないとか思われがちですが、何事も工夫次第です。創意と工夫 に 満ちた、バランスのよい空間を設計者と共に生み出す作業。それは、ハウスメーカーでは味わえない楽しさです。
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家づくりを楽しむために−その16
 
子供の自立は家族のありかたから。
私たちの子供の頃の住まいは、部屋と部屋とが襖一枚で仕切られていて、親や兄弟と『自分の部屋が欲しい。』と思うほど常に顔を合わせ、賑やかでした。自分の部屋がなく、プライバシーがないのも事実でしたが、大切な様々な事を学びました。核家族化・少子化・夫婦共働きなど、子供を孤立させてしまうケースが多い現在、部屋を壁で区切った住まいが主流となっています。さらに『子供の自立心を養い、勉強が集中できるように。』と期待し、安易に子供部屋を与える親もいます。西洋のように『個人主義』がきちんと確立されていない日本において、親の勝手な思惑通りにいかない場合がほとんどで、子供は掃除もしなければ勉強もしない。部屋にこもりがちで何をしているのかわからない。わからないから過剰に干渉をして子供を怒らせる。あげくの果てには学校や世間のせいにしたり、住宅のせいにしたり…。子供に部屋を与えるということは、プライバシーを与えると同時に、家庭から隔離してしまう危険性もあるのです。
部屋を与える前に、『子供とのふれあい』は大丈夫か、子供は『部屋の価値』を理解しているかなど慎重になることが必要です。家族と常にふれあうことができた、懐かしい日本の住まい。たとえ自分の部屋はなくても、私たちは勉強し、自立をすることができたのです。
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家づくりを楽しむために−その15
 
健康性、快適性への関心を高めた家づくりを。
すがすがしい桧や杉の香り、心地よい畳の匂い。最近では少なくなった、そんな香りがする新築住宅へおじゃまするとき、気持ちがウキウキします。また一方で、目がチカチカしたり、頭がズキズキしたり…『ここの家もシックハウス(病気の家)だ。』と残念に思うことがあります。内装に使われた塗料や接着剤、それらを使った合板や集成材などが有機化合物や甘酸っぱい匂いを放出するためです。最近の住宅は、省エネルギーのために高気密・高断熱化しています。空気が滞留することも悪循環を引き起こしています。家族の心身を守り、育むはずの『家』が、シックハウスの問題を引きおこすことは、プランを提案する建築家として真摯に取り組まなければならない問題です。自然素材や化学物質の放散の少ない建材をいろいろ提案したり。高気密・高断熱にとらわれず、温暖な紀南にあった密閉型でないプランを提案・工夫したり…。
『自然素材は高くつく。』ととらわれがちですが、手頃な価格のものを上手に組み合わせれば、なじみやすく、味わいのある空間が生まれます。間取りや設備だけでなく、健康性・快適性への関心も高めた、家づくりをしていただきたいと思います。
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家づくりを楽しむために−その14
 
自然素材を使い、歳月を経る程に愛着が深まっていく住まいを。
最近、廃材を使った家具やインテリア装飾が若者の人気を呼んでいるようです。長年使い込まれたからこそ表れる独特の質感、そして自分だけの独創性を演出できるところに魅力があるためです。また、古い民家や、現在では手に入りにくい立派な古い木材を再生して役立てようとする動きも広がっています。今日の日本の住宅をみるとプリント合板、木目調のクッションフロア、レンガ調の壁紙など、そっくりに作られた建材が多く使われています。人と家との関係は歳月を経る程に愛着が深まっていくもの。自然素材が使い込まれ、汚れ、傷ついていくと、何とも言えない味わいを醸し出してきます。同時にその味わいが家族の歴史になっていきます。そっくりに作られたものでは、そんな価値はえられません。『自然素材は高いもの。』というイメージにとらわれている方もいらっしゃるかもしれません。確かに高価なものもありますが、手頃な価格でいいものもたくさんあります。
それらを上手に組み合わせて使っていただきたいと思います。自然素材を使った家を手に入れ、使い込み、愛着と価値を育んでいく。これも家づくりの一つの楽しみ方です。
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家づくりを楽しむために−その13
 
建て替え前の家のイメージにとらわれず、 新たな気持ちで、新たなプランを。
家の建て替えをするとき、どうしても前の家の間取りやイメージにとらわれがちになってしまいます。長年親しみ、慈 しんできた住まいのことを思う気持ちはよくわかります。しかし、せっかく新しくするのですから、 家づくりを楽しまないともったいない。思い切って一からプランづくりを楽しんでいただきたい。何が何でも前の家にこだわりたいのであれば、遊び心や、なんらかの新しさをプラスして欲しいと思います。

『家は三回建てないと満足ゆくものができない。』と言われているように、施主さんが満足できる家は簡単に手に入れることはできません。あれこれ思い悩まず、私たち設計事務所に任せてみることも家づくりを楽しむための一つの選択です。希望を伝えて、建築家の培ってきたノウハウやアイディアが盛り込まれたプランを提案させてみる。そこに、設計事務所の魅力とプランづくりのおもしろさがあるからです。
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家づくりを楽しむために−その12
 
和風・洋風などにとらわれず、『自分らしさ』にこだわった家づくりを。
住まいの歴史を辿っていくと、その土地の木や竹、土など容易に手に入る素材を生かした建築物がつくられています。現代では当たり前の瓦・窓ガラス・照明なども、安全で快適に暮らせるように先人たちがうまく取り入れ、一つのスタイルを確立させてきたのです。しかし、ある人は現在の日本の住宅を『和風でもなく洋風でもなく、中途半端で正しい姿ではない。日本伝統の住まいに戻るべきだ。』と主張しています。また、『住宅情報誌などを参考にしたり、住宅展示場をみてまわったり、メーカーものの影響を受けすぎていることに問題がある。』と指摘をする人もいます。ライフスタイルが多様化している現在、和洋折衷の住まいがダメだと私は思いません。和風・洋風云々よりも。自分らしく豊に暮らしていくためのプランをしっかりともつことが大切だと考えています。
暮らしに必要で、よいものを取り入れていく。そして、風土にあう自然な素材を用い、先人たちが培ってきた、季節を楽しみながら日々過ごすための工夫を住まいの随所に生かしていく。そんな家づくりが必要ではないのでしょうか。
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家づくりを楽しむために−その11
 
コンセプトをいかし、アイディアをプラスする。
設計料の価値がそこにあります。
家の外観から間取り、設備にいたるまでこだわりをもたれていた方。家そのものよりも、暮らし方にこだわりをもたれていた方。『坪いくらで家を建てたらいいのですか。』から始まった方…長年この仕事に携わっていると、色々な施主さんに出会います。難しい局面にいたることもしばしばです。ある施主さんは『私の家族はオープンなので、コミュニケーションを大切にできる家にしたいのです。』と最初におっしゃっていました。数日後、家族のふれあいを第一に考え、そして将来の生活のことも視野に入れ、各部屋を密室にしない壁を可変型にしたプランを提案しました。しかし、『子供部屋、寝室、リビング、各部屋がちゃんと仕切られてないのは困る。』とのことで、がっかりした思い出がありました。また、プランが完成して工事にかかる段階でプラン変更という苦い経験もありました。よりよい住まいを手に入れるためには、体裁のいい話はいりません。大切なのは『こう暮らしたい。』『こんな家が建てたい。』『これだけは絶対に譲れない。』などのコンセプトを、私たちに明確に伝えていただくこと。そのコンセプトがいかされた、プランを私たちに提案させることなのです。


そうやってできあがった、建築士が培って来たノウハウやアイディアが加味されたプランを、信頼していただきたいと思います。『設計料を支払っただけの価値があった。』と、納得していただけるベストプランを提案するためにも、『施主さんとの信頼関係』を何よりも大切に思っています。
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家づくりを楽しむために−その10
 
建てたい家の質感と資金のバランスをとることがポイントです。
『みなさん坪いくらの家をたてていますか。』『坪いくらの家を建てるといいのですか。』といった相談を受けることがあります。『ひと坪あたり○○万円』という表現が定着しているからでしょう。決してこの表現は誤りではないのですが、使う素材や設備によって差があり、建てたい家によって違いが出るため、あまり参考にはなりません。大切なのは、『自分が求める家の質感はどれくらいなのか。』『建築資金をいくらまでだすのか。』を把握して、この二つのバランスを考えて資金にあった納得の行く品質のプランをつくることなのです。『資金が限られているから、設計事務所に依頼するのはもったいない。』という方もいらっしゃいます。しかし、私たち設計事務所の仕事は、施主さんとよく話し合い、資金の範囲内で、施主さんらしく快適に暮らしていただけるように、培って来た知識と経験を生かし、プランをつくるところからはじまります。

お預かりした大切な資金を、施主さんに変わって生かし切る仕事でもあるのです。
建築資金を有効に活用し、満足できる住まいを手に入れていただくためにも、設計事務所を大いに活用していただきたいと思います。
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家づくりを楽しむために−その09
 
建物が竣工した後に、手を掛けてやることでその家の価値が高まるのです。
過去に手がけた建物を再び訪れるとき、施主さんと語り合い、共に家づくりに懸命だった日々を懐かしく思うとともに、時を経てどのように成長しているかの期待で胸が膨らみます。自然(緑)と同化し、街の風景をつくっている姿、施主さんが愛着をもって育んだ空間と暮らし…。予想を遙かに超えて、施主さんの愛情を注がれた建物が語りかけてくるとき、胸が熱くなります。施主さんの夢や希望を壊さないように、二世代・三世代にわたって愛していただけるように、朽ちないデザインや便利さ・丈夫さはもちろん、メンテナンスのことも考えて竣工させた家…建てたままにしておくのではなく、一日でも長く、快適に暮らすためにメンテナンスをしっかりしたり、ライフスタイルやインテリア、ガーデニングにこだわったり…。
世界でただひとつのあなたの家のために、しっかりと手を掛けてやり、こだわりと愛情をもって家としての価値を高めていただくことを願ってやみません。
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家づくりを楽しむために−その08
 
家全体のバランスや、外部とのつながりなども大切に。
新しい住まいのプランを考えるとき、綺麗な内装や使いやすい設備、美しい外観…といった夢や希望をみなさん沢山もたれています。しかし、窓やキッチン、照明など、多くの種類やグレードの建築資材が普及している現在、その中から取捨選択することは、住宅に携わってない方にとっては悩みの種となります。『住宅情報誌などいろいろな資料を参考にして、自分が気に入ったデザインや商品を取り入れていった結果、家がアンバランスになってしまった。』という声や『家族や知人の意見を受け入れすぎた結果、アンバランスになってしまい、落ち着かない。』という声もよく伺います。たとえ高くはない素材でも、バランスよく使うことができれば、良い雰囲気を出せるものです。


また、プランづくりを始めるとき、自分の家の事だけにとらわれがちになってしまいますが、『緑(環境)』や『まちなみ』、『まち』とのつながりも、視野に入れて家づくりを進めることも大切です。
どんな立派な家を建てても、外部とのつながりを大切にしていない家はどことなく寂しくたたずんでいます。家全体のバランスはもちろん、『緑』や『まち』、『まちなみ』とのつながりを考えて価値ある住まいを手に入れていただきたいものです。
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家づくりを楽しむために−その07
 
形を造るデザインよりも、生活のデザインが大切。
家を建てた後、他人の評価に一喜一憂する方がいらっしゃいます。他人の目に自分の家がどう映るのか、よほど気になるのでしょう。奇抜な意匠を凝らして、都会的で洗練された空間や建物をつくることも充分に可能です。しかし、家は家族を包み込み、育むもの。生活の匂いや家族の気配を感じることが、安らぎをうむのです。家の外観はまちとのつながり、環境とのつながりも重視しながら。家の中は自分らしい毎日の生活を考えてデザインすることが何よりも大切だと思います。自分たちが何を求め、どんな暮らしをしていきたいのか。ポリシーが貫かれていなければオリジナリティーは生まれません。自分流のライフスタイルにとことんこだわり、プランづくりしていけば、見た目で判断する他人の評価に一喜一憂することもなく、満足ゆくマイホームを手に入れることができるのではないでしょうか。見た目ばかりにとらわれず、マイホームをつくり、自分らしく豊に暮らしていただくことを願ってやみません。
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家づくりを楽しむために−その06
 
家族や将来のためにも本当の設計を。
「設計事務所で設計してもらったのに失敗した。」とおっしゃる方に出会いました。よくよく話を聞いてみると、自分たちと施工者で、間取りや外観、窓の大きさなどを決めて、建築確認取得のためだけに図面制作を依頼したというケースでした。建築確認取得のために設計事務所に仕事を依頼する場合は、事務手続きを代行しているだけとご理解していただきたいと思います。家が完成してから問題が発生するだろうと経験上感じたところはアドバイスしますが、決して施主さんのプライベートを理解した上で図面を制作をしているわけではないのです。施主さんのこれからの生活や、将来設計、ご家族のことなど様々な要素を考え、話し合ってプランをつくっていく。それが本当の意味の設計なのです。設計事務所に頼むとお金がかかると思われているかもしれません。しかし、設計料には建築家が培ってきたノウハウやアイディア料が含まれているのです。お気に入りの住まいを手に入れるために本当の設計を依頼していただきたいと思います。
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家づくりを楽しむために−その05
 
平面もだいじ。空間はもっとだいじ。
プレハブ住宅やマンションが定着したためでしょうか、『プラン=間取り』と捉えている方が多いようです。また、住宅の平面計画である『間取り』ができれば、プラン完成と思っている方も少なくないようです。
これは、大きな誤りです。住まいは平面ではありません。立体空間で構成されているのが住まいです。よりよい住まいをつくるためには、外部の環境をはじめ、多くの要素を視野に入れることが大切なのです。
プランとは、様々な要素を含めた住宅設計全体を指すもので、間取り(平面計画)は、その一部にすぎません。また、間取りは、部屋と部屋との関係の、平面的なつながりを示したものにすぎないのです。


着工後や完成後に『こんなはずではなかった。』と後悔するのは、間取りだけにこだわってしまうためではないでしょうか。外部との関係や、立体空間としてどんな構成になっているかについて細かく注意を払いながら、お気に入りの住まいを手に入れたいものです。
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家づくりを楽しむために−その04
 
プランニング(建物の基本設計)は人生設計でもあるのです。
単身〜結婚〜子供の出産と成長〜子供の独立…家族は時と共に成長していきます。家族構成の変化やライフスタイルの変化と共に、家のサイズが窮屈になったり、合わなくなったりします。変化する住まい方に対応できるように、設計段階から間取りを変更可変型にしておくことなども重要ですが、何よりも大切なことは、『これからどういう人生を送りたいのか。』をよく考えてみることです。

建物のプランニング(基本設計)をするということは、単に『間取りを考える』ということではなくて、多くの要素の中から、これからの自分の人生に必要となるものを取捨選択し、優先順位をつけるということに他なりません。住宅はそのプランによって、住まう人の立ち居振る舞いまで変えてしまいます。また、『まちなみ』もそこに住む人たちのライフスタイルに大きな影響を与えます。

基本プランの大切さを、もう一度考えてみたいものです。
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家づくりを楽しむために−その03
 
住宅は「社会資産」でもあるのです。
地域の住まい手のルールや良識が感じられる、美しい『まちなみ』はたくさんあります。『家』が集まって『まちなみ』が生まれ、『まちなみ』が集まって『まち』が生まれます。わたくしたちは、まちとのつながりや、環境とのつながりも視野に入れて、家づくりに取り組んできたと言えるでしょうか。

『地域との一体感をもたせつつ、家それぞれに快適に、個性的に住まう。』この二つのバランスは非常に難しいことです。難しいことではあるけれども、施主さんと私たち建築家の課題だと考えています。

ルールと良識をもって自分たちの住んでいる『まち』『まちなみ』『家』をつくり、維持し、愛していく。そんな家づくりに施主さんと一緒に取り組んでいきたいと思っています。
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家づくりを楽しむために−その02
 
施主さんと設計事務所の相性が大切
子供達が学校で描いている絵を観てみると、同じ静物を描いても一人一人の個性があふれています。家の設計も似たようなもので、同じ題材で10社に設計を依頼した場合、それぞれの事務所や建築家の個性が色濃く反映されるため、10社とも異なった図面ができあがります。

そのため、設計事務所の個性を確かめて、自分と合う事務所を選ぶことが大切です。今まで、どんな建物を手掛けてきたか、過去の実績を現地まで出向いて見ることで評価したり、建てたい家のイメージを具体的に提示して、お互いの家づくりに対する考え方を話し合ったり・・・。事務所選びも”最初がかんじん”なのです。
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家づくりを楽しむために−その01
 
家づくりの第一歩は、設計事務所選びから。
家づくり・設計の依頼をいただくことは、施主さんといっしょに”旅”に出るようなものかもしれません。いろいろなトラブルを乗り越えて、時にはトラブルも楽しみながら、家をつくる喜びを分かち合う。夢や希望を語り合ったり、デザインやインテリアについて語り合ったり・・・。”家づくりの旅”をいっしょに楽しむ生涯のパートナーであることを願って、私たちは出会いを大切にしています。
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紀州材を使った木の家、木造住宅、在来工法、民家型工法、地域密着型(和歌山県)、外断熱通気工法の住宅設計|一級建築士事務所 中村伸吾建築設計室
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